見出し画像

「うきわ〜友達以上、不倫未満〜(第3話)」疲れ果てた末に304号室が動き出す。

前2話に比べて、夫婦のシーンや会話がすこぶる少なくなっている。そして、森山直太朗と門脇麦が青春の恋のように近づいていく。いや、妄想で出てくる砂場で遊ぶ幼児のような近づき方なのかもしれない。と思ったら、最初の秘密の場は個室の料理屋。それは、十分大人の逢瀬というところか?ドラマ全体がマイナートーンで繰り広げられる中、ラストのそこはとても煌びやかに見えたりする。そう、心の中にある、虚しさと美しさみたいなものが、映像の中に具現化されている感じはなかなか興味深く、生臭さと煌びやかさが重なるときのエロスみたいなものを感じたりもする。

このドラマを主役として引っ張るのは、やはり門脇麦なのだろう。彼女がクリーニング屋の店員でいて、同僚の男に、心を読まれる感じがなかなか良い。そう、視聴者もそれがわかるような演技を門脇がしているのだ。心の底のドロドロした感じと、新しい恋にワクワクしている感じ。そんな心が混ざった感じを見事に演じている。

そして、妄想の中に幸福を見ている感じもいい。二人が幼児のように作る砂の城。壊してく夫がいたりする。そして、社宅のベランダの壁を壊してしまいたい衝動。その末に、303号室と305号室の隣に304号室を妄想で作り出す門脇。それを画にしてしまうことがとてもシュールである。しかし、いまだに複合住宅では4の数字を嫌うところがあるが、本当にこの習慣は必要なのか?これは日本だけのこととは思うが、そんなの関係ないように、昨今は問題物件が増えているわけで、なんかこういう抜け番はかえって気持ち悪い気がする私であったりする。

他の不倫カップルも活動的に映し出される。西田尚美は友人に出産祝いを持っていくが、赤ちゃんを遠目に見た途端に逃げ出し、持っていったお菓子を外で食べ、不倫相手に残りを与える。ここで、西田が子供が欲しかったという記憶から逃れられていないことがわかる。そして、この粗暴な行動が彼女の心をうまく表現しているし、不倫に走る意味合いを物語る。この辺りで森山との関係がすれ違っている意味合いはわかるが、それを収束させるモードに入るにはまだ遠い感じもよくわかる。

門脇の夫の大東駿介は、女好きのただの男の浮気である。まあ、仕事はそれなりにできるのかもしれないが、こういう調子のいい男は昔からよくいる。それだけに、この辺りは元に戻らない感じを示しているということなのか?

3話に入ってそんな細かいところが見えてきて、心の隙間を本当に埋めたくなった森山と門脇が食事をすることになる。さあ、救助の浮輪はどこに浮かんでいるの?という流れなのでしょうか?特に目新しさがあるわけではない不倫ドラマなのだが、役者の演技もあり、結構サスペンスにできている。

この記事が参加している募集

#テレビドラマ感想文

22,032件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?