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「アンメット ある脳外科医の日記(第3話)」医療現場だからミスが起こらないということではない。そしてミスを起こすという不安もまたミスを引き起こす

あいみょんが主題歌を担当するドラマは面白いものが多いという認識がある。担当者があいみょんに頼みたい雰囲気のドラマというやつがあるのかもしれない。このドラマも、その例外ではなくここまで見て、今期のドラマで一番興味深い題材だし、人の心にいろんなものを投げかけてくる感じは素敵だ。そして、主役の杉咲花の演技にはどんどん引き込まれる。

今回は、前回の若葉竜也が杉咲の脳をもう一度調べさせてくれと投げかけたところから、そこに了承して検査を行うまで。そして、杉咲の脳に異常がないということがわかる。なかなかミステリアスな展開。

でも今回の主題は医療ミスの話。前回まで、とにかくきつい顔で怖い看護師長であった吉瀬美智子に対して不満が募る看護師周り。医師にもそのきつい言葉は向くわけで、皆の不満が溜まっていく悪い流れ。そんな中で前から吉瀬と一緒に働いていた安井順平が、彼女がそうなった原因を話す。ある手術でオペの機材出しをしていた吉瀬は患者の異常に気づくが、何も口出しできなった。そこは各方面からのプロが集められた場所だったからだ。そして、周囲の医師も気づいていたにも関わらず何も言えず、患者を死に導いてしまったという話。医者でなくてもこういうことはよくある。経験不足のものが、どうにかなるだろうと思うのが一番危険だったりもするが。人というのはミスから覚えることが多分にある。そう、ミスをすることがプロになることだ。

だが、そこから、吉瀬は絶対にミスを起こさないように看護師にキツくあたる感じになっていった。そして、何度も指差し確認をさせるという徹底を図る。確かにそれでかなりのミスを防ゲルとは思う。ドラマの最後の方で「スイスチーズモデル」という言葉が出てくる。穴の空いたチーズに準えて、チーズの穴が無くなるまでチェックせよということらしいが、これをよくわからないものにいうと、それは恐怖につながったりもする。そういう意味では、何故そうしないといけないか?という理屈をちゃんと説明する時間がない吉瀬はちょっと問題ではある。

今回、ドラマの中で患者に危険な状況が起こるが、これは看護師の山谷花純が自分がスイッチを入れたかどうか不安があったのを、違う看護師に確認させたことが原因だ。その看護師はPCでの確認しかしていない。もし、山谷が本当に不安だったら、現場に戻ると思うのだ。これは、家の鍵をかけたかどうかみたいなものに似ている。やはり自分で確認することが自分の心もスッキリするわけで、他人にその気持ちは回避はできないということだ。

そのあとで、オペ室に鍵がかかって入れないというのは、吉瀬の気持ちを変化させるために作った話だろうが、こんな事がある病院はかなり怖い。まあ、これから、ビル管理もAIがやるような時代になったら、こんなことはあるかもしれませんけどね。

とにかくも、医療の現場でのこういう事故が、現場の結束を強くするか、恐怖の中で誰もが不安を持つ感じになるかは、統率する者の責任ではある。とにかくも、ヒューマンエラーがなくなることはない。とにかく速やかにリカバリーできる人を増やすことが必要なだけであり、そういう人間をプロフェッショナルと言うのである。

と言うことで、なかなか面白い話だった。そして、吉瀬美智子の笑顔がこのドラマで初めて見られたことは良かったと思う。

さあ、杉咲の記憶障害は治せるのか?そして、彼女を思う男たちの恋の行方は?

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