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竹内結子へのファンレター【1】天国の本屋〜恋火〜(2004年)

竹内結子のしてきた仕事を振り返りたいと思う。とにかく、今の俳優さんの得していることは、ほぼ仕事がそのまま残っていることである。今更遅いのだが、彼女の仕事をランダムに取り上げてファンレターを綴っていきたいと思う。

最初はこの作品。「天国の本屋〜恋火〜(篠原哲雄監督作品)」天国と現実を行き来するファンタジーだ。今この時期にこれを見ると結子さんが一緒に天国から観ているような気持ちになった。この作品の中の原田芳雄の話によると、人の命は100年と決まっていて、早く死んだものは、残りを天国で過ごすということである。まだ、結子さんは60年、天国で暮らすという事だ。それが終わったら、また今生に戻ってくる。そう、竹内結子の魂も仕事も永遠なのである。

竹内結子、26歳の時の作品。松久淳と田中渉の共著の原作小説の映画化である。天国と今生を行き来する原田芳雄はもう、天国の人になっているし、その弟子の新井浩文も役者として帰ってくるのかも怪しい。そして、これが映画出演二作目の香里奈も、当時の勢いもなく、いろいろと時代を感じたりした。後、中に出てくる桜井センリと吉田日出子のカップルがなかなか素敵なのだが、桜井さんも、8年前に亡くなっているが、それも孤独死だったというような話もあるし、この一本の中に生き死にをすごく感じた再見であった。

この映画で、結子さんは、青年部で活躍する、和菓子屋の娘と、死んでしまって天国にいる、ピアニストだった伯母の二役を演じている。ある意味、この映画の時に役者としての最初の旬を迎えたような時だったと思う。同時期に「今、会いにいきます」やテレビでは「プライド」などに出ている。その中で、この二役をちゃんと演じ分けている。そこはもう役者として周囲から信頼されていたということもあろう。

彼女はこの映画の公開の次の年に最初の結婚をしている。そういう意味でも最初の女盛りの姿が堪能できる。くりくりした目で、シリアスに考える結子さんも、笑顔の結子さんもそこにいる。まあ、二つの役を演じる彼女を観られるわけで、かなり今日観ると贅沢な感じがした。

映画の話としては、あくまでもファンタジーの恋話である。結構、あちこちぎこちないシーンや構成もあるのだが、竹内結子を堪能するには十分な映画である。結子さんを主に観ていると玉山鉄二が少しじゃまだが(玉山ファンにはごめんなさい)、二人のピアノでの曲作りの場面はなかなか良い。

また、今生での結子さんは和菓子屋の娘。朝ドラ「あすか」でやっていたであろう、和菓子作りのシーンもある。お母さんが、かとうかずこなのはわかるが、お父さんが、あがた森魚なのには少し疑問はある。あまり出てこないからいいのだが…。

天国のドラマと今生での話が、今ひとつ上手く噛み合っていなく感じるところもあるが、彼女の最初の旬の時がいつでも観られると思えば、贅沢な時間がここにあった。今、天国にいる彼女を思いだすと、涙が出てくる人もいると思うが、今観て、彼女の死について考えられる1本なのかもしれない。

とにかくも、映像の中に結子さんが残っていることには安心した。徐々に彼女の作品を観直して、彼女とその時代を振り返ってみたりしたい。彼女を忘れることのないように…。

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