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「恋はDeepに(第9話)」あまりサプライズがない最終回。そして3年後の再会編を作る蛇足感。

結局、最終回に至り、脚本から新しさみたいなものを感じることはなかった。先週の交通事故で、すぐに綾野剛が倒れるのかと思ったら、石原の送別会も終わった最後の最後で入院騒ぎ。石原がキスしも起きないのじゃ、この入院自体の意味もよくわからない。

石原の正体が何かよくわからなくても、その名前と論文の中身は一人歩きして世界中に反響が起こるという感じになっても、ドラマ自体はどうも盛り上がらない。考えたら、世界中に同じように魚が人間になって活動している者がいっぱいいるとか、そういう話ならまた面白いかと思ったりもした。とにかくも、最初の設定が甘すぎるのだろう。結局、ドラマ全体の構成がとっ散らかっていてメリハリがないので最終回も盛り上がらないのだ。

私的には最後に尾びれのついた石原さとみが見てみたかったのだが、そういうのをCGで作るみたいなファンタジーにはしたくないらしい。作り手というか、このドラマチームのやりたかったこと、伝えたかったこともいまいちよくわからないままにドラマが終わっていく感じである。

綾野剛の家の親子関係、兄弟関係もいつの間にか丸く収まって、柔らかくなっているのも不思議だ。脚本的には、これも石原さとみが関係した結果だとしたかったのではないか?そういう書き込みがないままにここにいる。親である鹿賀丈史と石原が対峙する場面も欲しかった気がする。

盛り上がらない最終回だったのだが、まあ、浜辺のお別れ場面は、それはそれで感動した?人もいるのかもしれない。石原と綾野という役者が抱きあえば、それは絵にはなる。だが、彼らの芝居を生かす脚本でなかったということは、彼らさえも薄っぺらく見せてしまうということを証明してしまったドラマである。

最後に3年後になり、新しい海洋開発が論じられている。そこに、石原が投げた石の功績は大きいのだろうが、実際の環境問題に対する定義にはなっていなかったことが残念だ。このドラマをみた人が、石原がやっていたようにペットボトルを集める作業をするようになれば世界は変わるかもしれないとは思うが、後半では、その作業シーンも出てこなくなっていた。とにかくも、道具として環境問題を使っただけというのは明確だ。そういう意思とかベクトルなどどうでも良いという安易さが、もはや時代にあっていない。

一言で言えば、上っ面の学芸会的な脚本を平気でドラマとして作って流したということなのだろうが、来週はこの続きが放送されるという。もう、とっ散らかるのもいい加減にしろである。こういうテレビ局のお遊びに付き合うスタッフ、キャストには同情するが、それにしても、その環境でも、視聴者を驚かせてやろうとする何かが欲しかったというのが私の思いである。



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