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「はい、泳げません」中年男のトラウマ脱出の話なのだが、色々、最後の爽快感みたいなものが足りない感じ。

月9のドラマで、その存在が生かされていないと私が書き続けている、綾瀬はるかですが、ここでも、もう一つ役として残念な感じでした。主役の長谷川博己のトラウマを三人の女たちがなんとかしようとする話なのですが、女性が三人いるために、その塩梅が悪い。綾瀬はるかは、水泳を教える人なので重要なのですが、その彼女が長谷川のプライベートに突っ込んでいくには、ちょっと無理がある感じが最後にしました。そして、彼女自身が、交通事故のトラウマで、街を普通に歩けないという人なわけで、彼女自身のトラウマも解決して、長谷川と恋に落ちたりするのが、映画としては、一番盛り上がりそうなわけですが、そういうおわり方ではありませんでしたね。そして、最後に長谷川が、もう少し、颯爽とクロールする姿が見たかった感じでした。

そう、綾瀬に恋をしないのは、他に阿部純子、扮する恋人がいるからなわけですが、こちらは、最後に告白はしていますが、その前に阿部が綾瀬にあって、長谷川をなんとかしてみたいなことを言ったらしいのですが、そのシーンがない。そう、三人の女たちが、接触して長谷川を論じるみたいなシーンがあれば、もう少しドラマ的にも盛り上がった気がします。

そして、主役の長谷川が大学教授ということで、実にロジックを考えながら生きている人で面倒臭い。だから、「無」になる必要がある、水泳ができないのはわかるのですが、もう少し、セリフで説明するのを止めるべきではなかったが。そして、無になる水泳のプールの中に、自分の過去が現れて、トラウマが解消していく流れは、少し変である。もちろん、溺れた過去とプールを結びつけているのだが、長谷川が泳げないのは、その子供の事故がある前からであって、そういうドラマのチグハグさが、どうも、観る側に勢いをつけないのですよね。映画という装置の使い方が下手な感じで、笑いを取ろうとするところも笑えない。たとえば、綾瀬がトラウマをトラシカと言い間違うとことかね。

水泳のコーチングのシーンも、結構重要なところだとは思うのですが、綾瀬の指導するところの話はそこそこ面白かったのですが、それをうまく映像にしていない感じ。そう、結局、これ、み終わった後に、今、泳げない人が、水泳を習いに行きたいって思わなきゃいけないのですよ。そういう勢いが映画にない。もちろん、綾瀬はるかさんみたいな先生が教えてくれるというなら、泳げないおじさんたちがいっぱい集まりそうではありますが…。

元の奥さんの麻生久美子は、関西出身でもないのに、関西弁でしたが、これ必要だったのでしょうか?まあ、存在感はありましたけどね。彼女の綾瀬と絡ませたりした方が良かったのではと思いますよね。

とにかくも、映画として言いたかったのは、「何も考えないで泳げるように、人生も何も考えないでも生きちゃうでしょ」というところなのでしょうね。それを言いたい割には、セリフの説明がすぎる映画だったということです。

一緒に水泳習うおばさんの中に伊佐山ひろ子さんがいて、お元気そうで、なんか、嬉しかったです。



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