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「パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜(第6話)」ナノマシンという見えない世界が人類に寄与する日はくるのか?

40年前くらいの昔、まだ、スマホもなかった頃、「マイクロマシン」なる言葉があった。モーターなどを極限まで小さくしていってロボットの駆動に使ったりしていた。その頃は、デジタルの世界がそんなに広がっていたわけではなく、AIとかいうものの今のようなイメージもなかった。

そんな、小さな駆動装置は昨今では当たり前になってしまい、今回、このドラマで描かれているのは、「ナノマシン」と呼ばれる、ウィルスレベルの機械である。いや、機械と言えるかどうかもよくわからない。これができるなら、細胞レベルでの人工化も可能だということなのだろう。そして、そのナノマシンによる殺人が起こったという話。そして、死体は顔中の穴が塞がれているという奇天烈なもの。こういうの、手塚治虫などが平気で描いていたが、久しぶりに見た気がした。

そう、物があまりに小さすぎ、そして、その論理的なものはドラマ上はうまく開示できていない。あくまでも、手塚治虫の漫画みたいに、こんなのがあったらの仮定ではある。その辺がドラマ的にはとても弱い。このドラマ全般的にこういうところがある。そして、オチにしても、岸井ゆきのが、もしかしてということで、嘘をついて、加害者の板谷由夏に殺人を白状させるといういい加減さ。だからこそ、視聴者にはわかりやすいと言えばそうなのだが…。理科系男子には、ちょっと不満が大きい。

しかし、ペースメーカーの発信にナノマシンが誤作動のように吸い寄せられるという仮定は、嘘臭くもないのがミソでもある。というか、ペースメーカーつけてる人が結構激しい水泳をやっていたが、それはいいのか?色々考えてしまった。

そして、ナノマシンは、小さいゆえに、確かに砂場の中の砂鉄みたいなものである、外乱によってどう動くのか、治験がすごい大変な気はする。ただ、こういうより小さい駆動系みたいのが開発されることで、人工臓器も小さくなっていくだろうから、ある意味、サイボーグ状態で長生きし続けるというようなことは、もう、すぐそこまできてはいるのだろう。

もちろん、不老不死や延命に何の意味があるのかと言って仕舞えばそれまでだが、世の中の進歩への命題としてはおもしろい。そして、この開発者も娘をコールドスリープさせていたということがわかるが、まず、そういう科学者的な考え方が、いろんな理性を破壊していっているというドラマ設定も面白いとは思った。ただ、今回も、もう一つ、フィクションが現実になりつつあるというような恐怖を視聴者に感じさせることができなかったのは残念なところ。なんか、最初の頃の脳の電子化みたいな話から、どんどん、ネタが嘘臭くなりつつあるのは気になるところだ。

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