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「コタツがない家」金子茂樹脚本のホームコメディ。本クールドラマの中のダークホース的存在

思えば、テレビドラマがこれだけの数作られているのに、昔、家族団欒の中で見られていたホームドラマという奴が皆無になっている気がする。橋田壽賀子氏が亡くなって「渡る世間は鬼ばかり」の新作も作られないわけで、世の中で家族という中でのドラマが作りにくいということはあるわけで、その構図の中で世の中を動かすというか、楽しませるのが難しい時代であるのは確かだろう。

そんなことを考えるとこのドラマの題名が見えてくる。つまり「コタツがない家」とは日本的な家族団欒のない家であるわけで、現状の日本の家族絵図をコメディーとして描くということなのだ。

脚本は「コントが始まる」の金子茂樹。彼の脚本は、一歩間違えればコントと思われるところを一歩止まって、ドラマとして構築しているようなところがある。しかし、今回はなかなかベテラン俳優を多く使ってかなり冒険にも見えたが、初回の勢いはなかなかだった。ここまでダメな男絵図はなかなかないだろうが、シチュエーションの中で、「これはある」と誰もがどこかで思ってるような日常の羅列に、誰もが微笑んでしまう作りは流石である。

そして、主演が小池栄子とは驚きである。今や、日本のエンタメ界になくてはならない女優になってることは認めるが、彼女を主演というのは、脚本家の希望か?視聴率が取りたい局側からそれはない発想だとは思う。だが、面白いものができそうな予感がするのは彼女主演だからだ。しかし、顔はピカピカだし、エネルギー感じる美しさを保っている女優さんですよね。

そして、昔は売れてた漫画家であるダメ夫が吉岡秀隆。これは、寅さんより酷い男だが、こういう男が演じられるのは、渥美清を身体で感じてきた俳優だからかもしれない。なかなかの破滅的なダメっぷりであった。そして、息子が佐間龍斗。誰?と思って調べたらジャニーズなのね。その割には老けた感じだし、ジャニーズだから配役されたのだろうが、やる気のなさはうまく演技できてますね。

そんな3人の不協和音が響く中で、電話がかかってきて、父親(小林薫)を保護したという。小林は妻(高橋恵子)と熟年離婚しており、自殺しようとしたところを保護された形だが、ただ風景を見に行っただけだという。仕方なく、小池は家に連れてくるが、持ち家も売ってしまったといい、そのまま居座る形のようだ。まあ、小林が料理が得意なことは救いか・・。

ろくでもない男を3人食わせるような状況ができた小池はカリスマウェディングプランナーとして有名なため、離婚などする気はない。だが、吉岡はそれも考えていて、編集者の北村一輝は、離婚をするまでを漫画にしろとかいうわけで、このあたりがどうなるかも面白そう。

なかなか、女が社会的に強くなった社会で、こんな家族もありそうなわけで、どんな異次元コメディになっていくかはとても楽しみなところだが、裏に「パリピ孔明」があって、視聴率対決がどうなるかと考えれば、若者は「パリピ〜」を選ぶ方が多いだろう。こちらのターゲットはもう少し上ではあろうが、金子茂樹の感覚についていくにはそれなりのリズムが必要。なかなか視聴率取るのは難しいか・・。

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