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「ミステリと言う勿れ」現代版、横溝正史的な怨恨話がラノベ風になって成立することに違和感はあるが・・。

テレビでこの原作がドラマ化されたのがいつだったのか?と調べたら昨年の1月から3月。時の早さについていけないなと思ったりした。ドラマは全11話の中で、最後の方はまとまりが今一つなかったが、エピソードの中で秀逸なものもあり、印象的なドラマではあった。その映画化。それなりに原作のファンがついてると言うこともあるのだろうが、実写映画としてはヒットしてることは喜ばしいこと。テレビ局主導の映画でも興行が難しい時代に、やはり、内容の面白さと口コミと言うことなのでしょうか?

とはいえ、映画的にこの作品を語ろうとすると、演出的な浅さは感じるし、発想は面白くとも解決法に難があったりする。所詮、コミック原作と言われればそうなのだろうが、そこを役者たちが演技でなんとか持たせてる感じ。やはり、テレビに毛が生えた感じと総評する方も多いのだろうなと思ったりもした。最後に、唐突に松嶋菜々子が出てくるところも、なんか本当に唐突であり、わかりやすくはあるが、彼女がこの騒動に関わらないようにした意味だけがわかった感じだった。

それよりも、クレジット出てから、伊藤沙莉と尾上松也が出てくるってもったいないですよね。この作品は彼らと菅田将暉演じる久能整が絡むことで面白くなるのだ。そう、今回の話も広島が舞台だとしても、現地の警察のでんでんがもっと絡んでこないと話が面白くならない気はした。その辺は原作無視で新しい構造作り出さないといけないのでは?伊藤沙莉を広島出張させるくらいの意気込みは欲しかった。

せっかく、町田啓太、柴咲コウ、萩原利久、原菜乃華と遺産相続4人組を揃えたのだから、彼らをもっと有効にいかす方法を考えなくてはいけないし、前半部は彼らがもっと欲をむき出しにする感じがあってもいい。そう、この遺産をめぐる話で、4人を仲良くしては話が面白くなかったりもする。

そんな難点を菅田将暉の性格の面倒臭さがなんとかセリフで繋いでいく形なわけで、わかりやすくはあるがサスペンスとしての面白さが足りないと言うことなのだろう。せっかく、気色の悪い日本人形が出てくるのだから、それが一人で勝手に動くとかの遊びも欲しかったですよね。

そういう意味では、最後の宮島にUSBを隠したという件は、少しおどろおどろした方に持っていこうとしたのでしょうが、結果的にはそれが空回りしてしまった感じで、勿体無かったですね。

で、まあ私的にはそこそこ面白かったのですが、コクがなかったという感じ。だが、日頃からラノベ的なものに多く触れている若者たちにとってはこのくらいのテイストで十分なのかもしれない。だからこそ、ヒットしているのかもしませんね。だいたい、役者も菅田以外にそんな集客力はない気がするわけですよ。

そんな中で、原菜乃華は、これだけの出番がある役は初めてではなかったでしょうか?映画の中でなかなか印象的に写りました。この人「波よ聞いてくれ」でもなかなかいい演技していたので、これからが楽しみです。

で、見終わった後考えたんですよ。この素材を市川崑に渡して映画に仕上げてもらったらもっと面白くできたのではないかと・・。多分、本当に「犬神家の一族」のパロディ的にいろいろ仕込んだかもしれませんよね。AIに彼の映画を全部データとして読ませて、この映画を「市川崑風にしろ」とやったら、そんな作品が出てくる時代もそう遠くはないわけで、妄想していったら、この映画やはり、もっと面白くできると思ったりしたわけです。

あと、この映画最大の謎は、ファーストシーンが雪であること。そこから菅田が移動したシーンは晴れている。多分、日程の都合なのだろうが、かなり見苦しかったです。ここ妥協するとこじゃないですよね?

いろいろ、文句も書いてきましたが、これヒットしたということは、続編もありですね。永山瑛太ともう一度、対峙する菅田将暉も見たいし、伊藤沙莉が刑事として動く姿も見たいです。原作ありきの世界ではありますが、キャラができてるのですから、映画オリジナルの作品を作っていってもいいのではないでしょうか?期待はします。




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