「ファーストペンギン(第10話)」ファーストペンギンは、任侠映画のように街を去る・・。
このドラマのモデルは未だにこの漁業ビジネスを展開しているわけで、このラストシーンは明らかにフィクションなわけだ。「お魚ボックス」を継続する代わりに、街を去る設定を考える必要があったのかとは思うが、話をグローバルにしすぎてこうなったということだろうか?そのあたり、少しモヤモヤが残った。
とはいえ、最後に一人、泉谷しげるのところに呼び出され、それに対峙する奈緒の姿はなかなか格好良かった。自分が去ることで、街の漁業を護るという姿は、何か、昔の任侠映画のようにも見えた。こういう啖呵が切れる女優はとても貴重だ。でも、その後で堤真一に切る啖呵というか叫びの方が迫力はありましたね。こういう、叫びの演技も心地よい。奈緒という女優の大きさを見せた初主演連ドラだったのではないか。ぜひ、彼女でドラマを作り続けていただきたい。
最終回は、なかなか駆け足で忙しかった。まずは、外資系の会社に融資を受けてしまい、騙されたことがわかった奈緒は、契約を破棄すると共に、新しい融資先を当たったり大忙し。その上で、梅沢富美男に協力を願う。小西遼生はそれでもなんとかビジネスを成功させようと他の船団を説得するも、結果的に小西に協力していた融資先が降りる形に。その裏に動いていたのが泉谷しげる。まあ、この政治家の動きはわかるが、今ひとつ彼が裏で動く姿がちゃんと描かれていないので、彼が好きにになれないままに終わってしまったのは残念。まあ、奈緒を政治家に誘うという事は、彼女を認めたという事でしょうけどね。
そして、自分が去ることを黙ったままに仕事をするのと、子供の卒園式。奈緒がなかなか寂しそうに、なんとか笑顔を振る舞ってる演技が秀逸。ここでも、それを見破るのは鈴木伸之。ドラマの糊付け役みたいに彼が使われているのだが、すごく勿体無い気がした。それなりの俳優が揃っているから、そういう部分が多かったのは残念なところ。そして、ラストは少し端折りすぎ。
渡辺大知の病院の顛末ももっと詳しく見たかったし、若手二人の結婚話も、もう少し落ち着いて描いたら良かったのでは。そう、この辺描くだけで1時間取ってもいいと思う。その末に、奈緒の息子がやってきて、堤と再開するという結末にすれば、もう少し泣けたのでは?ずーっと息子のナレーションでドラマが進んできたから、このラストは初めから考えられて作られたもので良いのだが、少しもったいなかった。
そして、そんな時代の変化にもめげず、最後は林業のファーストペンギンになっている奈緒。まあ、ビジネス版の渡り鳥シリーズ見たいなの作れそうですね。日本を転々と流れながら、その土地のビジネスを活性化させていく渡りペンギンシリーズ、やって欲しいです!!
ということで、最後は駆け足すぎてイマイチ感はありましたが、奈緒さんの溌剌とした演技で十分楽しませていただきました。ありがとうございました。
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