2019年映画概況を見て思う。誰が映画を消費しているのか?

日本映画製作者連盟が28日、2019年の映画概況を発表したとの記事がネットに上がっていた。

国内興行収入(興収)の総額は前年比17.4%増の2611億円で過去最高
入場者数は1億9千万人を超えた。(1億9千万人を超えたのは、1971年以来48年ぶり)

興収総額のうち邦画が占める割合は54.4%で、洋画を12年連続で上回った。邦洋合わせた公開本数は1278本で、過去最多。

映画のビジネスとしては良いニュースである。入場者数が1971年を超えたという話があるが、1971年といえば、大映が倒産し、日活がロマンポルノ路線に転換した年である。ある意味、映画がテレビや他のレジャー産業に白旗をあげ、映画の未来が見えなくなり、それと共に映画黄金時代が終わった年と言ってもいいだろう。

その年を超えたということは、かなり大きな意味があると思うわけです。興行形態がシネコン中心となり、映画ビジネス新時代がきているとも言えるでしょう。

興行収入の増加は、値上げを行ったこともあるでしょう。その辺りは、もう少し価格を下げて、映画人口を増やすという考え方もあるのでしょうが、ここでは話を差し控えます。

とはいえ、ヒットしているのは、「天気の子」をはじめとするアニメ、そしてディズニー作品ということで、この辺りもう少しバラエティにとんだラインナップになるともっと映画の将来が見えてくるのですけどね…。

あと、邦洋合わせた公開本数が過去最多というのは、少し驚きですね。昔のようにピンク映画を量産しているわけでもなく、洋画の配給数が多いようにも見えないわけで、多くはアニメの量産とレイトショーなどでの単館上映の邦画が増えているということなのでしょうね。

その、バックグラウンドには、映画制作がデジタルになり、映画撮影の機器や周辺機器の価格が安くなったこともあり、いろいろな人が映画という産業に参加できるようになっているということです。ということで、以前は男の世界に見えた泥臭さも抜け、女性監督も増えて、それなりに結果を出すようになったのは大きいですよね。

インターネット内での映像の発表も増えていることから見ても、この流れは止まらないし、映画館でかかる映画ももっと多様化に向かうと私は思っています。このあたりの話もまた別の機会に書きます。

そして、昨年久しぶりに、1年間、映画館通いをしてみて、私が最も映画をみていた1980~90年代に比べ、映画の完成度が高いということを感じたわけです。そう、映画作りの価格が下がると同時に、様々なエフェクトをかけるのも、撮り直しも簡単にでき、編集も一コマ一コマの詰めは簡易にできるので、短時間で個々の思いを映像に積めることができるのが2020年の今の映画制作です。本当に良い時代です。

2時間の映画を作って公開して客をいれるということは実に大変なことなのですが、作り手にとって多くの人にみていただきいろんな意見をいただくというのは本当に嬉しいことです。それがビジネスになっているということはまだまだ映画が人の欲求を満たすものだということでしょう。

今年も良い映画が多くの人に届き、映画業界がもっと新時代を迎えることを望む次第です。みなさん、もっと映画を観て、作って、意見交わしましょう!


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