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「シェフは名探偵(第3話)」洒落た大人の恋愛劇が成立するレストラン

第3話は、シェフがシェフに惚れるお話と、神尾佑の昔の恋のお話。どちらも、洒落た大人のお話で、テレビの11時台の寝る前にお酒とともに見る感じには良いドラマだった。昨今は、本当にターゲットがどこにあるのかわからぬドラマが多い中、子供の入る余地がないような舞台でのドラマはなかなか素敵である。

まずは、神尾の奥様がシルビア・グラブで、歌も披露してくれるのは、ドラマとしては豪華な感じ。こういうライブもなかなかできない現状を考えると、見ていて涎が垂れる感じもする。大体、こういう料理が主役のドラマは昨今はある意味毒である。

神尾はこのライブを期に喧嘩して、家を出てきてしまうという流れだが、ラストはその夫婦がまた仲良くなって終わり。こういう大人の喧嘩の話もなかなかおしゃれである。

そして、メインとなる、ブイヤベースばかりを注文する客(映美くらら)との、料理とシェフへの恋物語。映美さんは、朝ドラ「おちょやん」では、ちょっとベテランの女優という役をそれなりに演じていたが、ここでは、年相応の役で、その童顔を生かして、なかなかシェフとのやりとりも素敵だった。シェフが恋をする女性としては、適役かと…。

結果的には、ブイヤベースの味の話が、恋の味の話に転化していく。これもなかなかおしゃれである。西島秀俊の推理は、私には読めなかった。ということで、面白かった。そして、彼女の恋の告白に至る順番の間違いに、西島が自分への恋心の強さを読み解くという流れは、それこそ、青春の恋愛劇では成立しないであろう。まさに大人のドラマの流れ。こういう後味の話はなかなか良い。

このドラマを見ていて、昨今、政治家から、識者と呼ばれるテレビタレントまで、子供みたいな人ばっかりになってしまった日本では、こういう芝居は本当に心洗われる。最近のテレビ東京のドラマの良さは、予算はかけなくても、テレビを見ている人全員に媚びるようなものを作らないことだ。

それなりのキャストで、スタッフが納得したものを作っている感じがあるのが良い。きっと、こういうドラマを作れば、人生のちょっとしたエッセンスとして、それを受け取ってくれる人がいる。そういう感覚が私は好きだ。

そして、出演者もとても楽しんでいるように見える。まあ、美味しいものに囲まれている現場だから、笑顔にはなるか?石井杏奈がいつになく柔らかく愛らしく見えるのを見てもそれを感じる。

キックボードで前を通る若者がオーナーだったというのも、面白かったし、そういう意外性が色々あれば、ドラマは膨らんでいくものだと思ったりする。そして、もったいぶっている、謎の女、橋本マナミの正体もそろそろわかる頃か?


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