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「Destiny(第5話)」事件の真実を知りたい者と葬りたい者と

大学時代に恋に落ちた二人の父親は、検事と弁護士という立場で汚職事件で対決し、弁護士である仲村トオルに、検事の佐々木蔵之介は証拠不十分として負ける。そして、佐々木は懲戒解雇され、自殺を図るという事実が、佐々木の遺していたボイスレコーダーの記録からわかる。これを、石原さとみと亀梨和也が一緒に聞くという残酷なシーンはなかなか緊張感があったが、そこで、亀梨が癌の痛みで倒れるとは予想しなかったことだったろう。

これは、二人が一緒にいたということを石原のフィアンセの安藤政信に教えるようなことであり、石原は親族の真実を追うことで、プライベートの幸せも離れていくような空気感を醸し出し、悲劇にヒロインとしてドラマの後半に入っていくということだろう。

つまり、仲村トオルがやってることは、「アンチヒーロー」で長谷川博己が行なっていることと同じで、潰せる証拠は潰せばいいという論理。そして、メールを送ったという写真だけでは、証拠としては弱いことは佐々木もわかっていたという流れ。そういう意味では、佐々木のミスではあると思う。ただ、仲村は、この流れを自分の正義の意志とかではなく、誰かの指示で動いていた感じがするのが、「アンチヒーロー」の話とは違うところだ。闇の勢力は、自分の利権のためなら、検察側にも弁護側にもつくということ。だから、正義など、法の元で問題なければどちらにも転がるという話なのだろう。

そして、その後、亀梨がまた腹が痛いのがそんなに酷くないのか、自分で家に向かい、自分の家に火をつけるという行為をしたようである。誰が犯人でも、仲村トオルの家に存在するであろう事件の証拠を隠蔽することになるわけで、ここまでで、この事件で起こったことを明確にする材料がなくなったということなのかもしれない。

で、仲村はこういう筋道もわかっていたのかもしれないが、矢本悠馬に擦り寄ってくる。矢本のこれからの動きがどうなるのかは注目で、彼の雰囲気から言って、仲村にうまく使われてしまいそうな気はする。

そして、石原さとみの検事という地位を持っての復讐が始まる感じなのだろうが、なかなかそういう重い表情ができないのが、石原の女優としての欠点のような気もする。そして、女を使って男たちの世界に攻め入るような芝居も難しいと思うので、どう格好よく処理するのかは興味深い。

あと、そんな中で結果的には安藤と幸せになるのが一番いいと思うのだが、それも壊れるというストーリーもあるよね。そして、亀梨は朽ちていくのだろうが、その死の姿もドラマの中では注目の部分なのだろう。もう一つ、場面転換するにはスリリングさが足りないが、ここからの司法劇はそれなりに楽しみではある。


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