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「漂着者 ep,2」幸せの鐘の家という異質性と工作員という真実っぽい話と連続殺人の混沌

2回目。連続殺人はまだ続き、その犯人を追う警察には何も証拠らしきものが流れてこない。これは、このドラマで一番おかしいことだ。生瀬勝久が、事件の周辺を色々と追わずに、斎藤工周辺のことばかりを追っている。どこのものかもわからないものと殺人事件の接点は、斎藤の書いた絵だけである。

そして、追いかけてきた先が「幸せの鐘の家」という、宗教のようなコミュニティ。シンプルなセットだが、ここのいかがわしい空気感がなかなか秀逸であり、ここの主である、野間口徹は、それを象徴するように裏の顔が気になる存在としての役作りができている。

そして、そのコミュニティを監視する公安が出てくることで、斎藤が座礁した船から逃れた工作員か?という見方も浮かんでくる。

斎藤の正体が、工作員であろうがなんであろうが良いのだが、彼が描く絵と起こる連続殺人の関係が全く謎のシンクロであり、この辺り、どう決着をつけるのか?と思っていたら、第六感を司る遺伝子の話が出てくる。

死んだ教授が書いた数式に、後付けで数式を乗せていく斎藤。そして、それを主治医である船越英一郎が大学に持っていくと、数式は完成しているという。全ての不思議なことが斎藤を中心として関係を持っているという流れ。

そして、そのことを追い詰めた船越が、早々と死んでしまう。それも、なかなかマニアックな死体となって。彼が数式の意味を知ったから?というなら、彼がそれを突き詰めたことを知る者の仕業だが、細かい部分が見えない。そして、この死体遊びのようなものはどう考えればいいのか?

なかなか視聴者の射幸心を煽ってくる脚本だ。視聴者は、生瀬と白石と同じようにドラマの視覚の中で振り回されていく。

遺伝子の形が翼を開いた形であり、斎藤の足首のタトゥーと一致する。そしてそれは「幸せの鐘の家」の人々が挨拶に使う手の形であり、前回自殺したことになっている教授の手の形でもある。また、今回は、連続殺人で難を逃れた少女自身がその手の形を斎藤に見せている。

この話の事件の本質はこの「遺伝子」にあるのだろう。それは、人間が本来そうであったように、宇宙の法則にシンクロすることで世界が変わるということか?秋元康は、こういう宇宙との対話みたいなものを信じる人のような気がする。そして、彼の成功の源はそこにあるということなのかもしれない。そして、昨年の暮れから「風の時代」と言われ、活気づくこういう新しい時代の話ともシンクロしたものを作りたかったのかもしれない。

そう考えると、この話は陳腐になるというよりは、ファンタジックに帰結させられる気もする。まあ、秋元康が、何を狙って、この世界が混沌としている時代に投げた話なのかは?そこは、すごく興味がある。

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