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「BLACK JACK」何故に、この原作を実写にしたがるのか?という疑問

手塚治虫原作「ブラックジャック」が最初に実写化されたのは1977年、大林宣彦が商業映画に進出して二作目の「瞳の中の訪問者」だと思う。ブラックジャックを演じたのは宍戸錠であり、まあ、原作からは程遠いテイストであったことは印象深い。その後もさまざまに実写が試みられるが、ブラックジャックを「これならね」と思わせた役者は一人もいなかった。まあ、原作の雰囲気がとにかく異次元なわけで、それでいてエリートっぽい雰囲気を持たなければならないという印象を持たせう役者などそうはいないということだ。

そういう意味では、今回の高橋一生も怖いもの見たさでしかないとも思った。だが、結構、彼のそれは決まっていた。ピノコの永尾柚乃も、なかなかハマり役であったし、そのほかの役者陣も、まあ、手塚ワールドをそんなに壊さずにまとめていたという感想である。

脚本は森下佳子、監督、城定秀夫も、構成的に悪くない仕事をしていると思った。そして、私がこの作品のテーマだと思う「命の大切さと選別される命の辛さ」みたいなものをそれなりにうまく描いているのも好感だった。

ただ、雑誌の時から、やはりこの作品は「読み切り作品」であり、良き短編の積み重ねなわけである。それを2時間弱のスペシャルで、いくつかのストーリーを一緒にしてまとめるのは、私的には抵抗を感じる。

最初の、臓器移植の話、獅子面病の話、一緒にする必要があるのか?ということだ。先にも書いたように、脚本的には、この辺りは結構うまくはまとまっているが、別に一緒に見せられなくてもいい気はした。

そして、キリコ役は石橋静河。最初誰かわからなかったが、そのくらい演技的には、以前に比べ安定したものを見せていた。その辺も、ブラックジャック役の高橋一生の演技があってのことなのですよね。

そして、臓器移植の話の中で、すり替わった、早乙女太一と味方良介も、何か手塚漫画の中によく出てくるようなキャラに見えて良かったと思う。最初に車で事故る味方も、ロックっぽかったですものね。

まあ、以前に比べれば、CGも使えるし、特殊メイクの技術も進んでるわけで、そう考えたら、この原作を今実写化する意味はあるということだろう。でも、松本まりかの特殊メイクは、もう少し、松本の面影が残る感じにした方が良いとは思いました。

さあ、このドラマの反応を見て、これ続編を作るということもあるのでしょうか?先にも書いたようにスペシャル的な長いものはあまり見たくはないが、1時間程度のものを定期的に作るのはアリかな?連ドラにすると、絶対につまらない回が出てきそうで、それも嫌だったりするのですよね。

ある意味、昨今は、さまざまな新しい病気もあったりして、オリジナルを離れた物語の構築も含め、良い作品になるなら、「ブラックジャック」の実写化、まあ、それなりに見たい気はする。

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