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「ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~(第2話)」子供の気持ちを聴くという難しさ

このドラマ、医療現場での心の問題を扱うことが多い気がする。だからと言って、放射線技師が踏み込んでいいということは、一般的ではないだろう。あくまでも、技師は技師、先端機器を動かすプロという役割だからだ。患者とそんなに話す技師もいない気はする。そして、撮った写真の向こうにあるものをこのドラマのように感じる技師も少ないだろう。

でも、このドラマを見ていて思うことは、一歩、自分の専門領域から先を見つめることで、新しい発見があるということである。そして、それは昭和の高度成長期の日本には、当たり前のようにあったことだったりする。人が少ない中で良い仕事をするということは、分野分野の人々が少しづつオーバーラップすることで新しいものを開発するのが日本のあり方だった。そこから、昨今は分業制が進み、自分の仕事以外はやらない文化へと変わり、そんな中で派遣社員とかいう業種もでき、組織が予想以上のものや結果を得られれなくなってしまったというのが現実だ。だから、このドラマのように技師たちがチームとして動く感じは格好良く見えるがなかなか難しいことだと思う。そういう意味では、理想論だ。でも、これでないといけない気もするのは私だけだろうか?

今回は陸上選手一家の息子が、てんかんに悩んでいるという話。陸上選手として親の期待がかかっていることを知っている息子は、現状の苦しみと未来の栄光の天秤の中にあるが、これ、子供だと親の声を信じるしかないだろう。その心の不安を直接親に話させるようにアプローチを医師が行うというのが今回のミッション。心の部分は、医師としても難しいところ。決して技師が口を挟むところではないが、関係者がみんなで最善のアプローチができるように努力する姿が感想を呼ぶ。なかなか、こんなことリアルではないよなということをこのドラマはさらりとやってのける。そして、そんなに難しいことをやっているわけではない、それが、興味深いところだろう。

今回は、子供のてんかんになるシーンがなかなかリアルで怖かった。あれがあるから、周囲の人々の気持ちも見えてくる。医療ドラマというのは、患者の辛さみたいなものがうまく視聴者に伝わってこないとダメだなというところである。

まあ、そんな中に日常の仲間のやりとりや恋愛模様が、良い加減で注入されているのが、このドラマが月9として成立するところなのだろう。青春ドラマとは言わないが、そういう雰囲気を見せながら、医療の現場を見せて行くのがいい。今回も、面白く見させていただいています!

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