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信じるか?疑うか?はじめにどう考えるかで人の道は変わる「MIU404(第2話)」

第2話、面白かった!刑事ドラマを書こうとして、最初に刑事が容疑者を「疑うか」「信じるか」でその話の流れは変わる。その辺は、脚本家が脚本を書くにあたって重要なことだと思う。そして現実でも、「疑がわれた」「信じてくれた」という記憶は、多くの人の心にこびりついていく。そう、負の過去もまた、人の生き方の流れを変える。

そんなことを考えながら、この多重構造のドラマを観終わった。野木亜紀子脚本は、今回もキレがいい。そして、この話を東京から山梨に向かうロードムービー的に扱ったことが、とてもよかったと思う。そのドライブの時間に拉致された夫婦は、自分の過去に帰結する。そう、視聴者も考える時間を与えられるのがロードムービーのいいところだ。

確かに絶対に人を殺してはいけないのだが、刑事が犯人の人間性を信じることは大事なことだろう。そう、多くの冤罪は、刑事や検事が疑うところからリニアに脳味噌を働かせ、「自分が正義だ」というところに帰結させるゲームにしようとするからである。今回のドラマは、その人間性と過去への怨念が乖離していることが原因でもある。だが、私も、昔虐められたり、何もしていないのに「使えない」と言われたりした事や、加害者の顔は忘れない。もう一度顔を合わせたら殺意が湧くとは思う。人間とは因果な生き物で、自分中心でしか生きられない。そこにどれだけの客観性を融合できるかでストレスがない生活にしているようにも感じる。刑事なら尚更、そういう客観的な視線が必要だ。そういう点を考えれば、星野と綾野もまだ未熟であり、その若い刑事の成長のドラマでもある。この紋切り的な部分があるのもまた良しである。

そして、今回は星野源の過去の話もさらっと出てきた。彼もまた、同様のことで悩んでいる節もある。明るく振る舞う綾野剛の方は、もっと重いものを抱えているのではないか?これからが楽しみである。この小出し感も重要。

それでいて、重厚な刑事ドラマであり、人間ドラマに昇華させているのは演出はじめ、スタッフとのチームワークの良さか?このドラマ、演出も女性である。昔から、テレビ業界には女性がいる。ただ、橋田寿賀子に代表されるように、それはホームドラマの現場にかぎっていたような気もする。

女性が様々な職業につけて、上部だけは対等に働けるようになった今、ドラマの世界も変わりつつある。「オヤジ臭い刑事ドラマはもう古い」と言わんばかりの作品の登場は嬉しい限り。そして、じっくりと人間を描きこもうという姿勢もなんかとても良い。

ドラマ内に出てくる富士山。こんなに綺麗に見えるのも珍しいという感じのそれは、たまたまロケの日にあたったということなのか?こういうのは大事である。スタッフの持っているものか?

そして、ゲストの松下洸平。「スカーレット」で初めて彼を知ったが、あのドラマより若い感じでの登場。こういう、派手さがなく、ちょっと暗いものを抱えている役にはぴったりであった。今後、さらに演技に幅を広げていきそうな予感もある。

あと、この間も書いたが、麻生久美子がすごくいい感じである。ちゃんと捜査隊の上官として存在感を示している。最後には、星野や綾乃と一緒に一つ二つハメを外していく姿も見たいものである。というか彼女、すごい綺麗で格好良い。

最近の野木亜紀子脚本は、シリーズ全てに力が入り、観るものをずーっと飽きさせない感じがある。最初のデザインがしっかりしているのでしょうね。書き続けながら、更にブローアップしている感じが本当に興味深い。さあ、次週が楽しみである!


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