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「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の2番目の憂鬱(第7話)」花火作ってるけど、創ってないという言葉の深み

クリエイターというものは、プロなら、自分の作っているものに魂を入れないといけないと思うのは私も同じだ。わからない人にはわからないが、人の気持ちというものは、その人が作るものに伝播する。最近の量子力学に関する本を読んでいくと、それは確信に変わってくるのが面白くて仕方ない私である。

そんなことから考えると、主人公の高橋一生は、自分でなぜに花火を作っているかということがよくわかっていないということだ。とはいえ、変な自信がある。だから、今まで宮本茉由の仕事を制限していたわけである。しかし、彼女に花火を褒められたこともあるのだろう、意外に信念がないからだろうか、彼女を火薬配合の場に入れてしまう。そして、レシピを書いたノートを持っていかれたようだ。つまり、彼女は可愛い顔をして産業スパイだったのですね。ということは、これは「大病院占拠」と同じパターン。もう、宮本茉由を見たらスパイと思えというところでしょうか?

でも、そんなレシピを盗まれたのに、幽霊の親父さんは落ち着いている。そこで、高橋に「花火作ってるけど、創ってないんだな」という言葉を吐く。なかなか深い一言であり、昨今のクリエイターでこれを聞いて「ドキッ」とする人がどれだけいるだろうか?今の私の界隈にいる動画制作者など、この言葉がわかる人は20%くらいしかいないだろうね。簡単にいえば、これは「自分の作品に魂を入れろ」ということである。

つまり、レシピだけ持って帰ったって、同じものはできないよということ。いくら能書を知っていて、素材の本質や技を知っていても、心がそこに「おいしくなれ」という思いをかけないと、料理はおいしくできないよということと同じなのですよ。だから、心の綺麗な人の料理は美味しいし、悪口ばかり言う人間が作る料理はまずいと言う以前の問題だ。

だいたいこのドラマ、30分間のほとんどが古い日本の家屋の中で描かれ、そこの会話もなんか中身がないような感じなのだが、見終わると、こんな考察が書けるわけで、なかなか素晴らしいドラマなのですよ。そして、私は前から書いているが、このドラマの中の本田翼がなかなか好きである。

さあ、ここから花火の競技会の話に移るのだろう。レシピを持ち帰った宮本がどんな花火を打ち上げるのか?ある意味、リセットされた高橋がどんな本物の花火を創れるのか?その辺が見どころになってクライマックスを迎えるのだろうが、やはり気になるのは、橋爪功が戻ってきた本当の理由でしょうね・・。

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