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「何曜日に生まれたの」野島伸司ワールドが広がる感じが、ワクワクするドラマ

久々の野島伸司脚本ドラマ。主題歌The Holliesの「 Bus Stop」。彼のドラマを彩る主題歌らしい選曲。エンディングクレジット、なかなか格好いいですな。

そして、主演、飯豊まりえ。彼女あっての脚本なのだろうか?それはよくわからないが、彼女、ゴールデンのドラマは初主演だろう。それなりに気合いは入っているように見える。そして、高校時代のバイク事故のトラウマで、ここでいう「こもりびと」になったという、なかなか難しい役を上手くこなしてる感じの初回だった。期待はできる。

先の登場が、陣内孝則。歳のすぎた漫画家の役。デジタルに対応するとか、縦描きに対応するとか、編集者シシド・カフカに繕うが、まずは話が面白くないと一刀両断される。しかし、コロナがあったとか、言い訳のセリフが繰り返すのがなかなか面白いというか、陣内のキャラを明確に視聴者に印象付けさせるのは、さすがの脚本だと思う。

そして、娘のことを漫画に描けとシシドに言われる陣内。そして、ストーリーは、人気ラノベ作家の溝端淳平が書くという。とはいえ、難問は、その娘というのが、高校の時にバイク事故にあって依頼、引きこもりであるということ。その最低限のことしかしないような娘で漫画が描けるのか?

とはいえ、陣内が漫画を描かないと家賃が払えない状況。娘の飯豊も、それを気にして、話には乗ることになる。

しかし、昨今は、「引きこもり」を「こもりびと」などというらしい。ドラマの中でシシドもいうが、そんな可愛い名前つけて、精神的な逃避を正当化するのも変な時代ではある。

だが、ドラマとしては面白い。最初の方から、飯豊の高校時代の回想がモノクロで挿入される。10年前と現実を明確に描くにはなかなかわかりやすい。そして、野島作品だから、この回想は、現実のドラマにサスペンス的に繋がっていくのだろう。そういう楽しみもドラマの流れに感じる。

そして、飯豊の引きこもって、内向的な演技はなかなかである。どこであつらえたか、ピスタチオのシャツ着ていたり、しばらく、まともに他人と会ってもいないことがよくわかる演技。脚本にどのように記されているかは知れないが、こういう雰囲気の飯豊を考えて描かれているという雰囲気はわかる。そして、引きこもりらしく、溝端の部屋でフィギュアを欲しがる感じもうまい道具。

溝端の真面目なキャラはあまり面白味を感じないが、一緒に住む、セフレ?でシシド・カフカの妹役の早見あかりと一緒にしたら、結構魅力的な感じはする。この変な関係もどう使うのだろうか興味深い。早見の演技がテンション高いのは、ドラマの面白さがあってのことだろう。

そして、いまだにスマホを持たない飯豊に、溝端がそれを与え、同窓会に行ってこいという。スマホには、彼女の話が盗聴できるように仕込んである。つまり、作家と飯豊は、外の時間を共有できるということ。こういう小説の作り方もあるのが現代なのかも知れない。野島伸司、ちゃんと現代についていってる?

そして、結局、オシャレして出かけるも、トイレに引きこもり、同窓会には出ずにいたが、街で同級生に再会する結末。そこで、溝端に言われた「何曜日生まれですか」という話のきっかけを語る飯豊。ここまでの初回の脚本はなかなか良い流れができている。

テレビ朝日、前クールから始まった新しいドラマ枠だが、岡田惠和のドラマの後に野島伸司。かなり、攻めている感じはする。裏に日テレのドラマ枠が先にあるわけだが、打ち負かそうとしてますよね。まあ、そのくらいの気構えで作ってくれないと、面白いドラマはできませんよね。とにかく、期待の作品ではあります。

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