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「アトムの童」ゲーム業界を描きながらも、人間関係のアヤみたいなものがテーマか?

このドラマの最初で説明されるように、今やゲーム業界はその才能とアイデアで巨万の富を得られる世界であることは確かだ。そして、大企業対個人という形でも闘うことが可能な世界でもある。そこを舞台に、側から見たら無謀と思える闘いを描く物語のようだ。

放送後、ネットの感想を見ると、「下町ロケット」「陸王」と同じテイストを感じた方が多いようだ。確かに日曜劇場としては同じような、アリが象に立ち向かうような話。だが、最初から、闘うものに人間関係の過去があり、その復讐戦的な要素があるのは、池井戸潤原作の企業ドラマとは少し違う感じはする。主人公の山崎賢人のアイデンティティ回復という願望要素が強いのだ。そういう意味では、観ている方も彼にシンクロしやすい感じに仕上げられている。オリジナルドラマとして、どこまで面白くできるのか?期待大!

天才ゲーム製作者である山崎の人物紹介がしっかりなされて、最後に、新しいゲームを作ると宣言するまでの初回。その傍らに、小さい時から好きだった「アトム玩具」の火事があり、そこの社長になった岸井ゆきのの無謀な挑戦があり、そこに心が動く様が描かれたわけだが、なかなかこの導入がうまかった。そんなにうまくいくはずはないと思うが、山崎を興奮させ、昔いた舞台に戻すには十分な流れ。そう、山崎がワクワクするものを追求するのと同じように、ドラマがワクワクをつれてくる感じが絶妙!

そして、相手役が、最初は香川照之だったと聞くが、オダギリ・ジョーで正解だ。香川の芝居がここに混ざってくるとなんかクドくなる気がする。そして、今までの日曜劇場と同じような感じに視聴者に映るだろう。山崎vsオダギリは、結構新鮮に見える。

で、舞台のおもちゃメーカー「アトム玩具」。この名称、本当にありそうな名前だから良い。そして、100万馬力が出そうな名前!だが、オダギリが狙うこのメーカーが持っている「アトムロイド」という特許が今ひとつわからない。多分、この特許をゲームに入れ込むということが一つのステージとしてあるのだろうが、どう使われるのか?そういう、ゲームの本質的な部分は初回を見る限り今ひとつインパクトに欠ける。この辺が、ゲーマーたちや開発者たちを唸らせれば、かなり面白いドラマになると思う。

そうはいっても、脚本はかなり良くできているようで、山崎や岸井ゆきのら、キャストの演技がすこぶるテンションが高く勢いがあるように感じる。山崎と岸井の最初の出会いである「ガチャポン」のシーンや、ネットカフェでのやりとり、そして、最後に「アトム玩具」に山崎がやってくるところなど、他のキャストもイキイキしてるし、良い化学反応が起きている感じ!兎にも角にも、今年の日曜劇場の中でスタートは出色の面白さと言っていいだろう。最後に風間杜夫が「坊主、天才だな!」と山崎に言う。そこに頷く視聴者。皆の笑顔の中で山崎賢人の過酷な闘いが始まる感じにとても好感が持てた!

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