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「アンメット ある脳外科医の日記(第6話)」記憶が戻る道が見えてきたが、いろいろと内にも外にも障害がありそう

ラスト、抗てんかん薬を飲む量を増やしたら、昨日、豚骨を食べたことを覚えていたと走り出す杉咲花。つまり、杉咲の記憶喪失は「てんかん性健忘」であり、井浦新は、その薬の量を加減することでてんかんは起こらないが、記憶も戻らないという塩梅の状況を作り出していたのだ。そのために、彼女のデータをPCから消していたことでもそれが正解なのだろう。そして、このことは、岡山天音も知らなかった。そう、だんだん、杉咲の記憶が無くなったことで、それを自分の利益に繋げていったことがはっきりしてきたわけだ。

あと、このドラマのタイトルに対しての言及がある。「アンメット」とは「満たされない」という意味だという。それは、この薬の加減の話にも通じるのだろう。有効な量を満たさないことで秘密を隠しているような・・。そして、不思議なことに、杉咲の記憶喪失のせいで、周囲のいろんな人が満たされなくなっている。看護師がラーメン食べたいと懇願するのもそのせいである。そう、人の記憶というものは、自分のためだけに大事なものではないのだ。今期の多くの記憶喪失ドラマを見て思うことは、人の記憶というものは、多くの人とシンクロすることで意味をなすということだ。

恋愛問題でもそうだ。生田絵梨花が焦りを感じるのは、政略結婚の相手の岡山が杉咲の記憶に惹かれていく感じがわかるからだ。しかし、生田、これだけ女としては興味がない感じにされる女を演じるのは苦痛ではないのだろうか?

そして、今回は怪我をして仕事を負われたが、「あなたが働けるところがある」と就職まで世話した感じの人が、また仕事を無くしそうになったところに、杉咲が安井順平と辞めさせないでくれと懇願に行く話。医者がここまでやるかは疑問だが、最後に格好よかったのは、安井順平だというのはサプライズだった。会社が障害者を雇うことで助成金をもらっているということをついたものだが、いつも逃げ腰の役が多い彼にとっては、すごいいい役だったですね。それも、杉咲の気持ちがシンクロしたからで、本当に、人は一人では生きていけないという表現としてはなかなかでした。

そう、このドラマ、若葉竜也が杉咲に恋していて、それを治そうとする気持ちもあるのだが、杉咲が毎日、その日に起こったことを忘れるという徹底的な悲劇を抱えながらも前向きであるところがたまらなく良いのだ。まあ、その裏に悪い奴らが何かを隠してるわけだが、本当に、杉咲の笑顔がドラマのパワーになっているところに好感が持てる。とにかくも、記憶が戻っても、彼女が幸せに前を向いて歩いていくラストを期待しながら、終盤楽しみにしております。


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