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「生きるとか死ぬとか父親とか(第7話)」友人の恋愛相談に答える難しさ

今回は、トッキーこと吉田羊が友人の石橋けいと中村優子の恋愛の話を聴かされて、自分のこと、仕事のことを顧みるお話。最後にお父様役の國村隼は出てくるものの、ほとんど彼が蚊帳の外の話。それはそれで、なかなか面白かった。

同棲カップルの浮気の話の相談から。なんか、こういう話だと、田中みな実が生き生きしているようにも見える。前にも書いたが、彼女のこのアナウンサー姿はなかなか良い。

まずは、石橋けいの夫が不倫をしている話。子供もいるし、簡単に別れるわけにもいかない。吉田に、ラジオのように相談を持ちかけるが、なかなかうまくまとまらないという感じがよく出ていた。相談相手が友人だといろんなことを考えてしまったりもする。そんな、よくある空気感がよく出ていた。結局は、後で中村優子が発言しているように、「ただ、ラジオのように話を聴いて欲しかった」ということだったりするのだろう。人は、他人にただただ悩みを聞いてもらう事で心がスッキリすることはよくあるし、精神科や、メンタルクリニック的な仕事は、全てそれを起点にしている。まずは、石橋が吐き出したい感じが、ドラマの中でもよく出ていた。そういうところにフォーカスがいくドラマというのが稀有だったので、興味深かった。

そして、中村優子が、妻子ある男性と付き合っている話。こちらも、中村が吉田に吐露するのは、心を落ち着けたいからだということはよくわかる。場所が川沿いなのもいい雰囲気を醸し出す。そして、いつもながらに中村優子さんは本当に、役になりきった良い芝居を見せてくれる。吉田とのたわいない会話を有機的に見せていく様は素晴らしいし、演出家もこういう芝居を撮れるのは楽しいだろう。構図を変えながら、すごい重厚な画が撮られていた。

そして、付け足しのように、國村隼が吉田に写真を送ってくる。それは自撮りではなく、誰か第三者が撮ったものだった。その女性と思われる人物に対しお礼を書いて送る吉田。こういうのが、このドラマの素敵なところだったりする。文鳥と國村隼という組み合わせも、なんか不思議だった。

「不倫とか 友情とか 秘密とか」というこの三つの組み合わせ、普通に存在はしないようで、よくある組み合わせにも見える。人生の中で、不倫の思い出、秘密の思い出を友人に話せる人がどのくらいいるだろうか?それを話してもらえる友人を持つ原作者ジェーン・スーはやはり特別なものを持っている人なのだろう。そして、それに答えられることが、彼女の特異にも見える存在感につながっているのだろう。

このドラマ、本当に多くの人に見ていただき、語っていただきたいと思う。

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