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「うきわ〜友達以上、不倫未満〜(第5話)」気だるい心の積み重ねの日々が行動を起こす不倫という罪。

今回は、森山直太朗の心象風景はあまり出てこなかった。そして、今まで、あまりフォーカスされていなかった蓮佛美沙子の心の中が結構描かれている。この5回までで、不倫の当事者たちの心模様が皆、視聴者に理解できるように描かれたということだろう。そう、このドラマはそのくらい、丁寧に人の心の深部を描いている。だから、テレビドラマにしたら、セリフは至って少ない。そのあたりは、現代の映像の造形法とは乖離している部分がある。丁寧に心を紡ぐということは、あまり一般受けしないのかもしれない。

ラスト、危険を冒して、門脇麦は、森山のいるベランダに移動してしまう。この冒険は、このドラマの中ではすごく大きい冒険だ。心の中はあまり変わっていないのだが、結果的に、門脇は大きな一歩を踏み出した感じ。これが、どのようなドラマに展開していくのか?

そう、今回で5回目なのだが、大きな展開がないのに、結構、主人公たちの胸の中を見てしまっている、私たち視聴者。そして、この主人公周りにスリリングなサスペンスを感じているわけではないが、何か次も見たくなる感じはなんなのだろう。まあ、覗き趣味で、今日は、お隣さん、何やってんのかな?という感じなのかもしれないが…。そこに都会の日常の世界の狭さ見たいのも見える。

今回、フォーカスが当たった、蓮佛にしても、仕事ができてもっと日常的に明るく振る舞ってもいいのに、大東に、執着して?あまり格好良くない日常にある。大東と仕事帰りに歩いていて「泊まっていく?」という愛のない言葉に、日常の打算以外は感じることはない。しかし、そんな女を見事に演じている蓮佛さんがすごい。

西田尚美と陶芸の先生の中にせよ、今までになかった日常が教室にあるのはわかるが、西田の生活のルーティンの一つであり、それが破綻していくような匂いはあまりない。そう、日常の中での有効な不倫活動であり、それらは不倫と呼べるほど、倫理を犯しているのか?と思う面もある。

そう、倫理とは、法ではないが、何かしてはいけないという壁を少し突き破ったところにあり、覗かれると気恥ずかしいようなものを不倫と呼ぶのだ。そういう意味では、ドラマチックに流れていかない、ここにある男女は見事に不倫の世界を生きている。

そして、不倫の向こうには、誰にも語れないようなモヤモヤな心象風景があり、その部分をドラマとして仕上げている迫力がこのドラマにはある。そう、決して、舞台では表現できないだろう、映像だからこそ、その呼吸がわかるみたいな部分が面白い作品だ。展開の先をそんなに期待するというよりは、来週も、私たちは彼らを覗くことに興味があるわけだ。

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