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「ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~(第5話)」古い機器を使うことで重要なことが見えてくるということ

今回は、病院の予算の話が中心だ。昔は病院は経営に困ることはないだろうと思っていたし、医者の息子は特権階級だった。だが、昨今はパンデミックもあり、人手不足もあり、まあ、経営的には楽な商売ではない。そして、そういうところこから、以前にもまして患者を金と見る向きも多くあるのだろうと思う。そして、最新鋭機器は、そんな金を持った患者たちには納得いく環境の一部だということだ。

そんな中で、高額の人間ドッグ見学に行く、ラジエーションハウスの面々。確かにこういうところは存在するのだろうと思う。昔は温泉場は湯治という言葉の通り、リハビリの場であったりもした。そう考えると、そこで人間ドッグを開くというのは、発想としてはありうる。そして、検査としては最高のものを用意するが、医療行為はできないというのも、現代の発想だし、分業化することで最大の収益を得ようということなのだろう。ドラマの中で、最新機器や、ITの利用が出てくるときは、こういうのが多いし、そこの問題点をつけば、ドラマになるというのも事実だろう。

この高額人間ドッグの従業員の態度も、一貫して愛情などは持つなというような演技。そう、効率化の中で、結果的に奪われるのは愛情だ。逆に考えれば、機械に使われているような場所では愛情は切り捨てられるということだ。それは、チャップリンが描いた「モダンタイムス」の時代から何も変わっていない。

そういう矛盾点が示された後で、病院の機械が壊れる話。そして、スペックを落として画像が粗い状態で検査をすることになるラジエーションハウスの面々。つまり古い機器は人の勘が頼りだったりもして、ここで今日の主人公的な遠藤憲一が職人芸を見せる。仕事の本質を理解しているからこそ、目標に向かって機械を使いこなす格好良さが見える。そう、こういう得意分野を持っている人がいっぱいいて会社組織は成り立っていたのだ。だが、今は機械が一番みたいなところが多く、そうなると、ここで描かれているように「金」優先になる。そして、現在のような、機械のオペレーターというイメージで派遣社員をいっぱい雇うことになる。これで、世の中も人間も前に進めるわけがないのだ。そんな、いろんなことを考えさせる今回の話だった。そう、頭を使って仕事をすること、そしてプロの仕事は経費削減につながるということだ。

最後に、修理人の上島竜兵登場!ちゃんと、「くるりんぱ」をやって自己紹介するも、いつもと違い、出演者みんなにヒーロー扱いされるいい役。そう、この話の最後に職人の仕事がやはり必要だというエピローグになっているわけだ。

ラジエーションハウスは、最新の画像処理機器に囲まれて医療をサポートする話だが、こういう人的な話がされることは興味深い。そう、原作者も、最新機器を取材した中でこういう話に辿り着いたのだと思う。

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