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「シェフは名探偵(第4話)」いつも笑顔で迎えてくれるレストランの意味合い

冒頭から客の理不尽な叱責に憤る、濱田岳。これが、今回のテーマだったわけだ。店を開くものも、客もお互いに敬意を示さなければいけない。他人に対する差別などなく、いざこざもなく、嘘もない中で、幸せな空間を作ることが重要だということだ。これは、レストランという特殊な空間に限ったことではない。そして、世界中のいろんな現場でこのような事件は起こっているだろうと思ったりもする。なかなか奥が深い回だった。

最初のお話は、トランスジェンダーの人がそのことを隠して、女性だけで運営しているレストランで働いていたという話。最初のレストランの会話でオーナーがその人に「お化粧はしないで、香水はつけないで」という話をする。男として育てられ女性として働くことができたというのに、それを否定されるようなことを言われるのは、大きなノイズでしかない。昨今のLGBTがマイノリティーとして大きな声をあげる世界でも、こういう話は、特に気にせず話してしまうのが、普通の男であり女だ。そう、普通の性を生きるものには、そこに気を使うことなど到底無理なのが普通だ。でも、マイノリティーの人々が声を上げることで少しづつは変わっていくのだろう。こういうドラマの中で、こういうことが語られるのもとても大きなことだ。ふた昔前なら、ただの「変態」という言葉で片付けられたりしていたわけだから…。

そして、彼女の静かな訴えが、送られてきた「マカロン」だったという話は、とてもわかりやすい。いわゆる日本で知られる華やかなマカロンではなく、色がついていない生地の色のままのマカロンを送りつけ「マカロンはマカロン」という手紙を挟む。そう、差別されようが、何を言われようが、その人はその人でしかないのだ。ここで、石井杏奈が同性愛者だという話も出てくるが、まあ、唐突であったが、これがこの後意味を持つの?

そして、もう一つが西島秀俊の友人が、ビーガン料理と言いながら、豚の背脂を使っていたという話。「そのくらいはわからないだろう」というようなグレーゾーンの話が多い世の中だ。だが、仕事でそれを気にしなくなると、いっぺんに色々な緊張感がなくなっていってしまう。やはり、本物とはなんなのか?という追求は必要なのだ。

そして、ここで、ネットのSNSの対応についてもなかなか良いことを語っている。どんなに身に覚えのない悪口を書かれたりしても、それをそれなりに受け入れる。そして、自分の生きる波動が落ちるような行為はしないということ。なんでも、どうやったら幸せになれるのか?という観点でSNSに投稿することが必要なのだろう。そう、リアルな世界と同じように、幸せな感情を受け取れ、幸せな発信ができる発信者の周りには、幸せな人が集まってくるのだから…。

そんなことがあって、最後に、濱田岳が、冒頭で叱責された客に謝りの電話を入れる。わざとであったとしても、謝ることで現在地が幸せになるならそれが一番であり、それが良い「気」を作り出すのだ。なかなか、色々と考えさせられる回であった。

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