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「日本沈没〜希望のひと〜」大地の沈没と、人の心の沈没と…。

初めの方で、震度5弱の地震が起こる。ちょうど先週、同じような震度の地震があった東京で見ている分にはタイムリーだ。それでなくても、コロナ禍は終わっておらず、人の心は折れかけ、それをまとめる国の中枢は国民を守るというには程遠く、個々の利権を守るだけの糞状態が続いている。そう、もはや、この国は沈没しかけているという妄想がずーっと脳裏を蠢いている感じだ。その中で、この題材をテレビに流すことは意味があるのかもしれない?

このドラマの原作が発表された時は、田中角栄が首相の座にあり、日本列島改造論を実行に移していた時である。その高度成長の更なる高みを目指す感じの中で、オイルショックがあり、不安も増幅してきた。その中でこの原作は国民に支持を受けたわけであり、その後には「ノストラダムスの大予言」がベストセラーになるような事象もあったわけだ。そう、東西冷戦下でもあり、不安は尽きなかったからこそ、この作品の登場の意味もあった気がする。

それから、50年弱の時を過ぎ、ここに作られた作品は、田所博士以外の登場人物はほぼ原作にないオリジナルなようだ。首相も、自分の意思では動けない操り人形。まあ、政界周辺が現状より若い面々で構成されているものの、その闇の頂点みたいなところに石橋蓮司がいたり、御用学者として國村隼がいたりする感じは、今の政界への揶揄なのであろう。そう、緊急時の政府の頼りなさみたいのを描くだけでもこのドラマは意味があるのかもしれない。

そして、今の私たちは3.11という日本沈没に近い事象も体験している。そこで、この日本の大地をどうまもり、日本人の未来をどうするかということが、現在のとても大きな問題だということは理解できている中でこのドラマを作ることには、すごく興味があるし、スタッフは大変だろうと思う。日本人が納得するものを作れるか?というところ。サブタイトルにある、「希望のひと」という言葉は、それなりに未来に向けてのエール感に思える。そういうドラマであって欲しいと思う。

とはいえ、原作の主役は、田所博士と、潜水艇の運転士である小野寺が主人公だったはず。ここでは、田所を前に出し、主役の小栗旬演じる天海は政府の人間だ。そうすることで、変態学者の田所対国家という構図にしやすいようにしたのだろうか?しかし、そのヒーローの苗字が天海とは、なかなか強気というか、脚本家の思いなのか?

そして、田所博士を演じるのは香川照之。確かにこういう変態な人間の役にはぴったりだが、香川さん、どこか小林桂樹が演じていた田所を踏襲している感じがする。多分、何度も見返したのだろうなと思ったりします。もうちょっとオリジナルな感じが欲しかったですかね?

そして、潜水艇は、最初から数人乗れる大型船。原作は途中で性能のいい潜水艇に乗り換えたりしてますが、その辺はいらない感じなのでしょうか?色々全体構成が気になります。

とにかく、初回は島が一つ沈み、地球の運動が活発しはじめたという感じで終わり、ここから、どうギアをあげて、日本人の未来をどう描いていくか?ということでしょう。原作とは違うぶん、そのまとめ方がすごく気になったりします。それなりに楽しみです。

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