見出し画像

「エアガール」広瀬すずが二世代を演じてそれぞれに美しいのに見惚れてしまった

広瀬すずを主演に迎え、日本最初のCAである、「エアガール」の誕生を描いたスペシャルドラマ。原案はノンフィクション「日本航空一期生(中丸 美繪 著)」。

日本の空を取り戻すという話の中で誕生した、エアガールの話である。実際は、今も日本の空は占領されたままのところが多い。戦後の独立意識を保ってさらに交渉を続けられる人々がいなかったせいなのかもしれない。沖縄もそうだが、形だけの返還で、永続的にアメリカに縛り続けられているのが今の日本だ。そういう構図をこの時代に活躍した人々は予想していたのか?ここで描かれる白洲次郎は、何かそれも予想していたようにも感じる。

いわゆる「アテンションプリーズ」や「スチュワーデス物語」のルーツの話だ。だから、元華族の山崎紘菜が広瀬すずのいじめ役でいたりするのは、ある意味、定番の構図。それはそれで観ている方は安心したりする。最後にはちゃんと仲間になっているのも定番。とはいえ、ほとんど訓練がないままに初フライトの話。こういうドタバタ劇は当時は珍しくなかったのだろうなと思うし、それを描くにはもう少し周囲の空気感を描いて欲しかった気もする。そんな時代、さまざまな工夫と考えることが大事だったとも言える。焼け野原の日本から立ち上がったパワーは、それを知らないものとしては、驚くことが多い。今のパンデミックから立ち上がるためのヒントはここにある気はする。

ドラマは、わかりやすく、そつない感じの作品に仕上がっていた。広瀬すずのエアガール姿は、すこぶる可愛い。彼女は現代に生きる孫役も演じているが、メイクもあって今昔の差異がしっかりできていたのには好感が持てた。戦後すぐの髪型やエアガールの制服がピッタリくるのは、彼女がある意味、日本的な女優だからだろう。背も誤魔化すという役なのだが、それよりも顔立ちが日本の女優の顔をしている。これから年齢を重ねてどう変化していくのか、楽しみである。

画像1

2時間のドラマの中では、民間航空会社を立ち上げることの厳しさみたいなものを十分には表現できていない気はした。いわゆる、当事者以外の声などももっと描かないと、今一つピンと来ないところはある。白洲次郎の本心みたいなものももっと描くべきだろう。藤木直人の白洲は少し役者不足。

広瀬の相手役というか、理解者の役が坂口健太郎。パイロットの役は似合っている。そして、広瀬とのコンビ感もよかった。そう、あくまでも正攻法のドラマの中でそつなくこなしていたということなのである。ドラマ的にはこの二人を観ている分にはなかなか楽しめた。テレビドラマとしては、それで十分な気もするが、…。

でもね、坂口健太郎が、年を経て橋爪功になってしまうのは、違う気がするんですよね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?