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「うきわ〜友達以上、不倫未満〜(第8話)」結局、女が独り立ちをして終了する現代絵図

ずーっと、どこを向いているのかわからない、いや、「うきわ」の中でもがいていたような門脇麦が、最後に、指輪から解放され、笑顔で前を見ている絵で終わる。まあ、こんな状況が多いから、シングルマザーも増えるのであろう。ここの彼女には子供はいないが。そう、不倫ドラマなのだが、どこにも、子供というものがないドラマなのだ。だから、自分の思いだけで動ける関係?だからこそ、簡単に崩れる関係?まあ、とはいえ、そこらじゅうに転がっていそうな話をドラマに仕立てたことが、興味深かった。

森山直太朗と門脇麦が最後のデートをするのは、カラオケボックス。それも、カラオケは歌わない。こういう使われ方は予想以上に多いのだと思う。まあ、昔々の同伴喫茶の代わり?いや、あれは、他のカップルもそばにいることで背徳感があったわけでそれとは違うだろう。しかし、ああいうスペースも無くなりましたものね。(いつ頃、亡くなったのかね?)

そう、ここでの二人は、至って健全。あくまでも二人の関係は「うきわ」の中で漂っているということなのだろう。全ては、森山の福岡転勤で終わっていくこの流れ。そういう外乱が、人の愛に対する心を変えてしまうのって、私にはよくわからない。そういう、転がってる石ころみたいな恋ができない人だからかもしれないが、まあ、これからは、テレワークの当たり前の時代。ドラマの中でもこういう流れは減っていくのだろうなとか思ってしまった。

森山と西田尚美の引っ越し風景も興味深かった。不倫をしていた西田は、若い男をふって、晴れやかな顔、西田の演技は本当に安定していて好きである。そして、少し煮えきれないような森山とどうなっていくのか?と思わせるところが面白いのだ。森山も西田も、福岡でまた新しい「うきわ」を見つけなければいけないかもしれない感じですよね。

そして、大東駿介は、はっきりと門脇に「浮気してたでしょう」と言われ防戦できず、結果的には、別れることになるのだが、本当にそれなりに仕事はできるが、軽い感じの男をうまく演じるものだとも思った。

8話に渡るドラマだったわけだが、ほぼドラマらしいドラマがない中で、男と女の心のありようを、モヤモヤした空気感とともに、ただ覗き見してる感じで描くことが新しかった。そして、あくまでも生々しい性的な欲望ではなく、生きることの楽しさみたいなものを追いかける不倫の光景であったことが新しくさえ感じた。

こういうドラマを作れるテレビ東京には、まだまだ可能性を感じてしまいますよね。テレビ局自体が「うきわ」を探している時代に、大したものです。



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