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「あなたがしてくれなくても(第9話)」恋心に正義などない。二人三脚みたいな恋などないということ。

二つの離婚話でドラマは終わった。まだ、ドラマは2回残っているようだ。あと2時間で、新しい恋の成就になるのか?何も変わらないのか?それ以外の、出発模様になるのか?落とし所は色々あるが、誰にも予想できないところに持っていっていただけると嬉しいかなとは思う。

そう、恋愛などというものを、人はいまだに飽きもせずに小説にしたり、映画にしたり、ドラマにしたりする。何故なら、誰にもその本質がわからないからだ。その本質は科学的に何か証明されているわけでもなし、ルールもないからだ。だが、恋愛が存在することを人は偽科学とは呼ばない。全ての人間がその存在を知っているからだ・・。考えれば、皆がよくわからないのに科学的に解明されていないのに、結婚などというものがあることが不思議な気もする。もちろん、種族繁栄のためには必要だったのだろうが、昔から妾という者があったりするように、ある意味、男の地位と女の生活を守るために存在し続けるのがそれなのだろう。だから、結婚した者たちが、このドラマにあるような状況に翻弄させられながら、混乱に陥るのは現代では必然と言える。現実の生活や仕事と、恋というものがうまくシンクロしていかなかったら苦痛でしかないからだ。

病院に寝ている大塚寧々が、「結婚は二人三脚だ」と息子に岩田に言う。そう。二人三脚みたいにルールがあってゴールが明確ならそれは理解しやすいだろう。そして大塚は「ひもが解けたらまた結べばいい」というが、現代の男女はそんな簡単にはいかないだろう。どんな不安な中に落ちても、自分が正義であると言う者がほとんどである。「正義」と言う考え方がある以上、なかなか違う道に進むことはできない。

田中みな実が興信所に調査させて、永山瑛太の店を特定し、尋ねるところがあったが、まさにここは、田中が「正義」を訴えようとして尋ねたわけだ。だが、宇野祥平が彼女に興味をもち、いらんことを話したため、その正義を訴えずに、皮肉を言うことしかできなかった。そして、田中は「何をしに来たのか?」と思う。そう、自分が「正義」と言うものの力のなさをうまく見せていた。これなど、昔の不倫ドラマなら田中が店の中で暴れて大事にさせていた感じもする。

今回は、彼らの間でSEXができないと理解したところから、離婚に着地するまでの物語。岩田が会社を辞める以外には、あまりドラマがない1時間だったが、主人公4人の心の揺らぎは結構丁寧に描かれていたとは思う。瑛太がマンションを買うと言う話や、子供のいる生活を考えたりするのは、男的に「何か心を戻す技はないか?」を考える中での妄想だ。そして、それらが一緒に浮かばないことで、奈緒に不信感を持たれてしまったりする。そう、夫婦など、それなりに長く一緒にいても他人なわけで、リセットは簡単だと言うのが昨今の結婚感でもあるのだろう。ある意味、2023年の夫婦の在り方みたいなものを感じさせる部分が多々ある。

そう言う意味でも、ドラマがどの方向に向いて終了するのかは、作り手の哲学であり、ドラマを見ている人にとっては一つの指標にもなるわけである。そう言う意味で、このようなドラマは見ていて飽きなかったりもする。

2023年の恋愛論。男も女も美しく生きられる姿を結論として見せていただきたいとは思います。

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