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「六本木クラス(第9話)」勢いに乗る企業と、失恋と、香川照之と…。

このドラマが終わると、香川照之の芝居はしばらくは観られなくなるのだろうか?という昨今のエグいニュースの状況。香川にしたら、自分で自分の首を絞めているのだが、これは、歌舞伎の世界が、一般の世界と同化し、歌舞伎界隈の特異な行動が、やっと特異と認められたということだとも言える。エンタメ界隈の空気も夜の社交場の空気も、時代と共に変わるわけで、それを読めない人というのは、やはり、世の中から葬り去られるのだろう。

その香川の芝居、今回はそんなに動きはなかったが、出てくるシーンでのエグイ感じはさすがというか、「これが嫌い」という人も多いのでしょうね。まあ、でもこのドラマの中では、潰すに値する演技。最後まで見られるらしいから、それはそれで楽しみである。

今回は、一度は挫けた心が、事件のことを面白がって、テレビ局が「二代目みやべ」に料理バトル番組の出演を依頼してくる。そして、「長屋」との一騎打ちの2回勝つという設定だが、このバトル、もう少し面白く作れなかったのでしょうかね。大体、さとうほなみが、そんなに料理のセンスが上がっているわけはない。そして、長屋の料理長もなんか弱々しい。先に勝負題材を教えてもらって挑んで負けるとはね。で、この流れがあっけないので、視聴者として、バトル自体に熱くなれないのは残念だったところ。

で、今回は鈴鹿央士が、長屋の社員になったことで、少し趣が変わってくるという展開。そう、長屋に竹内を理解するものがまた一人増えたということなのだろう。鈴鹿の考えてるアシストは何か?という感じ。

そして、料理バトルに出たことで、若い投資家からの投資話がきて、竹内は10億という投資を獲得できる。これで、フランチャイズの店を増やしていけるという目処がつくが、この流れも、なかなか単純で裏がない流れが面白みにかける。まあ、最終章のためのお膳立ての今回だったのだろう。

というようにイケイケにまた戻ったところで、平手友梨奈の竹内への告白と失恋の話がクライマックスになる。まあ、平手の演技が全てを演出し、なかなか重要なシーンを的確に悲劇っぽく描いていた。平手友梨奈という女優は、テンションの振り幅の切り替えを自分のセンスの中で全て処理してしまい、他の役者にはできないようなリズムを役に与えていく。そう、普通の格好よく振る舞える人が、「この人に決めた」と愛する人に妹以上には思えないと言われ、徹底的に落ち込み、情けなくなる心の情景が、演技として見事にこなされているわけで、今回は、ここを見せることで、ドラマ自体も、新しい展開に誘う感じは上手いところ。失恋に雨という、紋切り型の演出だが、こういうのを嵌めるのってなかなか難しく、演出陣は平手の演技に唸ったのではないか?

とにかく、復讐の成功の予感と、壊れていくものがあることで、ストーリーの先行きを見えなくしていく感じは脚本的のなかなか上手いところ。まあ、このドラマ、香川照之が完敗するところが見たくて、最後まで見る方も多くなってきたのではないだろうか?

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