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「六本木クラス(第7話)」香川の前に現れるのは皆、竹内の人柄を応援するものという皮肉。

ラスト、竹内の元から奪い取ろうとした野菜業者の緒方直人が、息子の轢き逃げ事件の担当刑事だったと知る香川。こういう、一つ一つの「縁」みたいなものに、どんどん感情をあらわにしていくところで、劣勢に引き込まれていく流れなのだろう。

そして、平手友梨奈は、竹内には内緒で香川に接触していく。ある意味、全く違う方法で香川の転覆みたいなものを考えているのだろう。竹内のビジネスに対するギアの入れ方は堅実であり、明確なことでしか動かないが、平手は自分の感性で感じたままにギアを変えていく。そう、自分とは波長が違うとわかっている人物に、何故そうまで心酔していくかもよくわからぬままに。その辺りがこのドラマの面白さでもある。

そして、稲森が店にやってくる。香川の応酬で、ビルを購入しなければならなくなり、稲森と共闘での香川潰しは停止しているものの、香川は、必死で彼らをスパイしていたりする。ある意味、香川自身が追い込まれ出している感じの演出がうまい。

そして、訳ありの倍賞美津子。「ここの店は潰れる」と言いながら、竹内が通りの店のことにまで協力して、客を呼ぼうとしているのを見て「似ている」という言葉を吐く。その似ている人物とは、たぶん香川なのだろう。彼もまた、最初は、金のために事業を起こしたわけではなかった。しかし、今回、セミナーの場で、ビジネスとは金を儲けることだと明確にしてるから、その基本を竹内にまた教えられる的なラストなのか?

まあ、そして、平手が竹内のビジネスのために身を投じる感じになるのと一緒に、新木優子も、早乙女太一に「竹内が好きだ」と宣言する。いろんなドラマ上のピースが香川を転覆させるために微妙に大胆に動き出す感じが面白い。そして、この動きを華麗に見せていくところが、今の韓流ドラマのうまさでもあるのだろう。日本のドラマはそういう部分が下手くそすぎる。つまり、キャラクターの微妙な心の変化や、速度を変えるところをいかにわかりやすくワクワクするように見せられるかというところだ。

今回の話など、竹内がビルを買って、会社組織にした以外の、ビジネス的なものは仲間達に任せていたりするわけで、彼の本質的に「縁のあった人を信じて動かす」という部分がうまく動いているわけである。そして、昨今、パンデミックで個々人が孤立化している日本であるが、今だからこそ、人の繋がりを再構築して、信じられる人間のサークルが、大きく新しい世界を築くチャンスであったりする。そう考えると、なかなか時代にあったドラマにも見えてきた。

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