「コタツがない家(第5話)」小林薫の自由さが今のホームドラマの在り方か・・。
何度も書いているが、このドラマは今風のホームドラマなのだ。昔のホームドラマなら、親父は森繁久弥のような人がいて、その主人が家出などすることはなかったし、経済力も問題がなかった。そう、こんなメチャクチャな家族の話を半世紀前に書いたら、SFとしても成り立たない感じがするし、半世紀前にこんな小説を書いたものもいなかっただろうから、やはり半世紀前に未来から来た小説家はいなかったのだろう。
でも、ハーレーに乗る女がやってるから「晴れ女」という名前の店みたいな駄洒落は、昔からあまり進化はないが、面白かったね。しかし、その晴れ女の明星真由美がバイクで登場した時に、何故にこの家の主人である吉岡はラジコンを抱えていたのか?こういう演出が意味不明だが刺さる感じの人は多いのかもしれない。そう、吉岡秀隆の気持ちの揺らぎみたいなものや、どうでもいいことを言ってくる感じが私は好きだ。どうでもいい時に松茸を道の駅で買ったレシートの話をするとかね。
今回は、まずは先週の続き。小池栄子の部下の河野真也がホラン千秋に惚れてしまい、会社を辞めると言い出した末に酔っ払って小池の家で寝てるところから。そこに、息子の作間の友人で漫画を描いている平澤宏々路が吉岡から直接意見が聞きたいとやってくるが、吉岡はその漫画を読んでなくて、結果、平澤はショックを受ける。この漫画の話を長々と引っ張っていますが、あまり面白い展開になりませんよね。
その夜、河野も平澤も、そして、ホランも、そしてその同居人の中川大輔も一緒に大家族のような食事会になる。このドラマ、こういう風景が描きたくてたまらないという脚本家の意志が私には見える。今、こういう食事風景を描くならこんな感じという。そう、これも昔のホームドラマには見られない風景。
そんな中、吉岡は不動産屋で物件を当たり、小林薫を家から追い出そうとする。そんな中、小池のところに鬼怒川から小林と一緒に暮らしていたという女の明星から電話があり、その女関係を聞いたら、今度は吉岡、また小林のことを漫画に描いてみようかななどと北村一輝に言い出す。確かに色恋話があるなら面白そうにも見える。が、小林はラストで明星の迎えが来て逃避行に。自由というかアバウトというか、これからの老人はこんな感じになってく気はする。
とにかくも、このホームドラマ、あくまでも女性主導の中で男たちが圧力も特になく動いてるわけで、多分、半世紀前の人たちにこれを見せたら、もう21世紀にはならなくていいというかもしれない。しかし、大きなドラマが特にあるわけではないのに、面白いですよね。こういうホームドラマがテレビにはあってるんですよね。刑事物とか医療ものもいいですが、やはりホームドラマは時代を映す鏡だと思ったりする私なわけです。
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