「海のはじまり(第4話)」 自分の気持ちを先延ばしする夏を、弥生がアシストしていく感じがリアル
4回目はもう中盤に差し掛かるにも関わらず、個々の気持ちの整理のような回であった。ラスト近くの、夏と弥生の再会によって、先延ばししていた時間が短くなってくような感じ。そこには、屈託のない海がいる。こういうドラマにありがちな、不穏な空気があまりないのが生方流とも言える。そう、何もないように時が過ぎる中で、周囲の人の悩みや、当事者の面倒臭さみたいなものまで見えてくるのは、それなりに見ている方に集中力を与える。
今回の前半部は、水季と弥生の過去の物語。夏が存在しない中で彼女たちが決断を下していくシーンが語られる。こうやって、まとめて描いてくれることで、海が今存在することの貴さみたいなものが前に出てくる。
水季が海を産むことを決断する周囲で、親の心配と希望みたいなものが感じられるのも良かった。特に父親の利重剛の水季への対応の仕方が、なかなか素敵。こんな対応とれるお父さんを描ける生方さんも素敵である。考えれば、利重さん、先日、お母様の小山内美江子さんを亡くしたばかり。この辺りの芝居にもその想いが重なるところもあったのでしょうかね?
弥生が子供を失ったことの重さも、積極的にシナリオに載せようとしているのはわかるが、やはり、無理に産んでしまう水季と弥生ではその重さが違うという感じでここを描くのは、ある意味危うくもあるが、わかりやすくはある。世の中にはこれで、色んなことを想起する人々がいるだろうことを意識して描かれている。子供を捨てた罪の重さを、コーヒーのあり方で伝えるのは印象的。
そう、この話、当事者たちに突然に降りかかってきた事件なのだ。そして、ここまで、それをどうまとめていっていいのか、そこで戸惑うところをいかに詳細に描いていくかが重要なのだと、私たちは言い聞かされている感じだ。人の命とは、身勝手に産まれることもあるが、誕生した命はやはり尊いものだということだろう。
そして、突然に現れた、海は可愛い過ぎる。これが、どうしようもなく暗い子だったらまた話の展開は変わるだろう。その海の性格も全て水季の生まれ変わりに見えていく過程が、時のスパンを一気に縮める。そんな、奇跡をドラマは美しく描くことに成功している。
さあ、ドラマのテンポは遅いがまた一歩、心が前に向いた感じ。次回は、夏が家族にこのことを伝える流れのようだ。どんな反応を示し、どういう未来を選択するのか?多分、そこがドラマの折り返しで、後半は新しい家族の物語ということだろう。まずは、海が幸せになる方法を脚本家はどう選ぶのかは注目なところ。
で、このドラマが、暗いとかガッカリだとか、ネガティブな記事がネットに泳いでいるのだが、ある意味、生方美久とこのスタッフへの嫉妬的なものもあるのだろう。まあ、実際、ドラマをちゃんと見ていないでコタツ記事書いてる人の方が多いのだろうから、特にどうでもいいことだが、私的には、気分よく生方ワールドの中で、今の世の中を見つめることが幸せだったりする。後半も期待しております。
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