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「風の向こうへ駆け抜けろ(前編)」平手友梨奈の騎手姿と、底から這い上がる芝居への期待

NHKのドラマまで見ているとキリがないので、もうあまり触れないことにしていたが、競馬の話、平手友梨奈が主演の女性騎手の話と聞くと、見ないわけにはいかなかった。

現在、JRAの藤田菜七子騎手をはじめとして、競馬場では女性騎手が活躍している。それは、このドラマでもあるように客寄せパンダの一つでもあるが、日本の女性騎手の腕は、年々上がっているのは確かで、今年、園田でデビューした佐々木世麗騎手は、地方競馬での新人女性騎手の勝利記録を塗り替えていたりしている。そう、この世界も徐々に女の力が輝き出しているのだ。

そういう世相もあって、このドラマなのだろう。中央で2年間、一度も勝てなかった女性騎手の平手が、地方に飛ばされるところから話は始まる。実際に女性騎手で中央から地方にこういう形で転籍になった騎手はいなかったと思うが、これからは、こういうこともありそうではある。

競馬を知らない人には、あまり詳しい解説が入らないドラマだ。日本の競馬にとって、中央と地方という色分けは大切な部分であり、その辺りは少しは解説が入っても良かった気がする。地方競馬の現場が汚く書かれているが、まあ、彼女がこの世界で底に落ちたことを示したかったのだろう。ここまで、差別的なものなのかどうかは、私は知らないが少しデフォルメしすぎでは?

大地康雄が、馬に盛り塩をして、それを嫌う平手みたいな構図などは、すごく古臭さを感じるし、いつも酔っ払っている小沢仁志のような人も近年はいないだろう。まあ、元GⅠジョッキーの中村蒼や、話のできない板垣李光人も含め、ちょっと昔なら梶原一騎が描きそうな面々の登場で、私的にはこういうのは好きなのですが、実際、昨今の若い人、平手のファンの方などはこういうのどう見るのでしょうね。

そう、話は、平手がセクハラされた馬主を一本背負で投げてしまったために、馬が厩舎から消えて、新しい勝てる馬を育てようとなるまでが前編。後編はこの馬が桜花賞に出るために厩舎のチームが夢を追うという展開らしい。まあ、競馬ファンでなくても、下剋上の戦いはウケるということだろう。

平手の騎手姿は様になっているし、その眼力で芝居は盤石なのだが、騎乗シーンで合成部分がわかってしまうのはチープである。そんなにアップはいらないだろうと思ったりもするのだが…。とはいえ、乗馬の訓練はしたのでしょうね、なかなか様になっていました。

そして、平手が騎乗が上手いのに勝てない原因は、落馬によるイップスだということが、中村から告げられる。そういうのを克服して頂点に向かうというのは、本当に梶原一騎的な話である。まあ、それを楽しもうという私ではありますけどね。とにかく、後編を見てからじゃないと、なかなか感想も書けない段階ですね。

でも、この前編を見た限り、もう少し本格的な競馬映画を平手で作ってほしい気はします。「ドラゴン桜」のバドミントンシーンもなかなか良かったけど、なんか、もっと彼女にぴったりなスポーツがありそうな気もしますよね。


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