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「クロサギ(第10話)」結果的にはハードボイルドな感じが恋しくなった私でしたが、平野紫耀は、期待できる俳優でした。

銀行に所属し、政界と繋がり巨悪な詐欺をして日本の金融をその手中に入れようとした佐々木蔵之介が逮捕されて大団円という話である。ある意味、親の仇と言いながらも、世の中のクズを葬ろうとした主人公の動きは、今日の一つのヒーロー像なのだろう。

そんな屈折したヒーローを平野紫耀は、なかなかニヒルに演じ切ったと言って良いだろう。ジャニーズ退所も決まっているわけだが、これからの仕事に期待できる主演ドラマだった。前作が山下智久主演だっただけに、どうなるやらとは思ったが、山下よりも影みたいなものを感じさせるのと、声がしゃがれてる感じがなかなか男に好印象を持たれるタイプだなと思った。もっと、ハードボイルドなものを演じられる雰囲気を持ってるよね。もっと、身体鍛えてアクションができる俳優目指してほしい感じ。今回は、最終回もアクションは中村ゆりが担当している感じでしたものね。それは、それで格好よかったですけどね。

最終回は、佐々木蔵之介を平野がどう食うかという話。結果的には、詐欺師である山本耕史も中村ゆりも、その大向こうにいる三浦友和も、それをアシストする形になっていたということだ。この辺りは、アンタッチャブルなヒーローものという形がうまくできていた。警察の井之脇海の描き方がいまいち表面的なものだったのが最後まで気に食わなかったのはあるが、まあ、それなりに楽しませていただいた。

しかし、最後に、佐々木蔵之介に自分の正体がバレることも予想して、もう一つパラレルにファンド会社を作っておくというのは、金がかかる話でなかなかそんなことはできないですよね。この辺、主人公がどこにどれだけ金を貯めていたかが語られないのも、もう一つ結果が安易に見えてくる感じではあった。また、平野の資産的なものも調査せずに、詐欺師として対峙して、結果的に騙されてしまう佐々木も今ひとつダークヒーローになりきれておらず、面白くない。そんな佐々木に加担していた時任勇気も、結果的には何も反論できずに黒島に敗北する形になるのも、もう一つ面白みにかける。

そう、ある意味、この詐欺師対決はもっとハードボイルドに動かなければ面白みがないのだ。皆に、どこか一つ抜けている感じを見えたら、話として面白くないのだ。そういう意味では、三浦友和だけが、そういう人物に設定されていたのだが、その辺りもうまく生かせていないまま終わった気もする。

そして、佐々木の裏で動いた政治家をもっと懲らしめるような話にしていないのも、もう一つ盛り上がりにかけるラストではあった。この辺り、いろんな忖度も感じるが、どうなのだろうか?

とはいえ、ラストシーン。検事になった黒島と平野が道ですれ違うシーンはなかなか洒落ていた。その前の黒島の家での晩餐の様子も、良いシーンだったが、こういうのが良いシーンに見えるということは、作り手の求めるものがハードボイルドではないわけですよね。そう、今の時代「固茹で卵」を好む人がいないということなのかもしれない。

黒島結菜、最初はどうなるかと思いましたが、最後はなかなか良い眼で良い演技をしていました。今年、前半はNHKのおかげでどうなるかと思いましたが、まだまだ来年に期待できる女優さんですね。


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