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「ゼイチョー~「払えない」にはワケがある~(第10話)」公務員が企業の税金逃れを認めるような日本では先がないですよね

ある意味、今期のドラマの中では残念な作品でしたね。「公務員舐めないでください」という本質が見えてこなかった。企業と市の癒着によって、税金逃れが公然と行われていたという事実は、自民党のキックバック問題よりもダメな話である。本当にこういう事実のモデルがあったりしたのだろうか?原作は漫画なわけだが、その辺りがすごく気になる。

そして、脱税をしていた板尾創路と徴税吏員の山田杏奈が親子であり、副市長の本郷奏太と異母兄妹という設定が、もう一つうまく使われていない気がした。そこに怨恨もあまり感じさせないし、結果が出た時の山田の刹那さみたいなものもうまく出ていない。この事実を公表するためにこの市にやってきたという本郷の心根ももう一つ伝わってこなかったりもしますよね。ある意味、悪役になりながらも父親をはめた感じになっているわけでそういう部分の心理描写がもっと欲しかったですよね。そういう意味では、本郷も山田もまだまだ役者としての深淵に届いていないということだろう。

そして、前々から書いているが、菊池風磨のおちゃらけがドラマを全て軽くしてしまっている。そういうものが演出として必要か?というところをもっと考えて欲しかったし、今回、鈴木もぐらのズボンが落ちるようなシーンも必要ないでしょう。というか、公務員らしくない姿はダメですよ。(それがどういうものか説明はできませんが・・)

ということで、本郷と菊池の同期である結木滉星が自殺したという事件にこのドラマの発端というかテーマが隠されていたわけだが、そういうところがもっとサスペンスとして描けてなかったのもダメなところでしたね。ここも、菊池のおちゃらけ演技が邪魔をしている。

まあ、この事件の悪役が板尾であり、彼の開き直った肉肉しい演技はまあ良かったが、だから、「税金をちゃんと払いましょうね」という話の流れにはあまり説得力がない気もする。というか、公務員を丸め込めば脱税はできると思ったりした人も多いのではないか?そう、何故にそこに至ったかという回想も出てこないし、今ひとつ消化不良ですよね。

そして、最後はクリスマスパーティーって、公務員がそんなことするのか?経費はもちろん自腹だよね。結果的には、作り手が公務員を舐めてるのではないかと思わせたのが最も問題な気はする。公務員といえば、刑事物などもそうなわけだが、彼らは犯人逮捕というミッションがはっきりしてるのでドラマになるが、徴税吏員をドラマにするには難しいですよね。あと、書き忘れたが、石田ひかりの描き方もイマイチで、最後は正義に加担はしてるが、もう一つ人間性が見えてこなかったという感じです。

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