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「うきわ〜友達以上、不倫未満〜(第2話)」アパートの仕切り越しの怪しさと、家庭の中を繕う空気

「うわき」は「うきわ」に似ていると、門脇麦本人に語らせる。そして、そんなくだらないことを考える想いから、冷えた家庭の空気感を映像の中に成立させ、外での秘密の顔がどのようにそこに侵食していくか?そう、映像の中に空気が澱んでいる感がたっぷりで深夜にこれを見せられるのはなかなか怖いことだと思う。

そして、主演の門脇と森山直太朗の、なんか世の中の、いや東京の華やかさの中についていけないような表情がまた頗るリアルである。森山のタバコを吸う姿の中に、ストレスを感じるし、門脇がその森山に問いかける時の何か物足りないような雰囲気は、現代の病巣にどんどん追い込まれている人間を見ているようで…。

門脇の夫である大東駿介は会社ではモテモテの男という設定。それを部下にもつ森山は彼をどう思っているのか?まだその辺は未知数。ただ、映像に出ているように、大東が囲まれている女たちの中で、蓮佛美沙子だけが少し違うオーラを放っている。このあたりは蓮佛の女優としての凄みであり、演出としてのうまさだ。そう、まだまだ決壊点がドラマの中に見えるわけではない。

森山の妻の西田尚美が陶芸教室で浮気をしていることは森山自身が認識している。そこがストレスの原因でもあるが、性格上問い詰められない。その西田が、門脇の勤めるクリーニング店に現れる。こういう接点がドラマを動かす鍵になるのであろう。西田が、浮気の素振りさえ見せない芝居。これもまた女優の巧妙な技。そう、このドラマは女優の技合戦でもあるのかもしれない。

1話に続き、相変わらず飯のシーンがやたら出てくるのに、うまそうに見せない。ある意味、「孤独のグルメ」の逆ということだ。これを見るに、家庭の団欒である飯のシーンというものが、家族の和をも示すものだということがよくわかる。飯のシーンをうまく撮れば、ホームドラマはかなりの完成度を見せる。

今回は、門脇が食べるご飯の上に、海苔で彼女の思いを書き、それを彼女が飲み込むというなかなか手間のかかったシーンが出てくる。これを見るに、演出が飯のシーンに拘っていることはよくわかる。

2話に及んで、特にドラマの進展がないが、上の写真の様に、浮き輪で漂流する門脇を引き上げようとする森山という妄想シーンが出てくる。そう、今、二人が溺れかけていることはここで確定されたわけである。だが、まだその間を繋ぐのは、ベランダとゴミ置き場の会話だけ。そして、取り持つアイテムは涙を拭くためのティッシュペーパー。

なんか、そんなストレスな日常を覗き見しているような我々視聴者はこのドラマから何が得られるのだろうか?よくわからないが、次がとりあえず気になる…。

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