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「虎に翼」伊藤沙莉の演技と、法律の世界の話がどうリンクしていくか?

AK制作の連続テレビ小説は、初めの週の勢いみたいなものがいつもないと思っているのだが、今回はなかなかキレがいい。脚本は吉田恵里香という人だが、私にはあまり馴染みがないので、あまり期待ぜずに見ていたこともあるが、なかなか出演者全てがイキイキしているのがいい。

前作「ブギウギ」は結果的には可もなく不可もなくという私の印象だった。歌うステージシーンは楽しめたが、モデルの笠置シヅ子自身が歌手をやりきってステージを去る感じでもなかったのがあるのだろう。そして、最後の方は娘を育てる話が多く、エンタメに生きた女性像という感じでもなかったのがそう感じさせたのかもしれない。

で、今回のモデルは、日本で初めて女性の弁護士になった三淵嘉子さん。私はこの人を知らなかったが、その事実を聞いただけで、すごい人だろうと思うのを感じたのは私だけではないだろう。まだ、女性の地位がすこぶる低い時代に弁護士になろうと思うこと自体がかなりのことだと思うし、それを今描くのは意味がありそうな気もする、なんとなくだが。

それよりも、主演が伊藤沙莉であることで、このドラマは成功しそうな気がする。私が彼女を知ったのは、やはり朝ドラの「ひよっこ」だ。米屋の娘の役で、本名は米子なのに、勝手にさおりと名乗る、かなり変な女性だったが、それから7年経っている。その間に多くのドラマや映画に出て演技を磨いてきて、今ここ。今週の演技を見る限りでは、7年前に比べるとすごくうまくなっていると感じた。そして、彼女の特徴でもあるガラガラ声が気にならなくなるくらいに綺麗というか凛とした女優さんになっていた。

そして、両親が石田ゆり子と岡部たかしというのもいい。岡部は朝ドラ連投だが、前回のアホのおっちゃんから、随分と出世したものだ。そして、伊藤を司法の道に引っ張ってしまう、小林薫と松山ケンイチもすごい存在感だし、小林が演じるドラマをナレーションするのが、元娘役の尾野真千子って配置も唸る。というか、尾野のナレーション、独特でなかなか良し。あと、大河の主役に決まった仲野太賀がここで出てくるのは、NHK的宣伝にも見えるが・・。まあ、NHK的にもそういう流れになるとは思ってなかったか?とにかくも賑やかしい、周辺人物が全てうまく回っている感じに見えた。

で、小林に言いくるめられるように、大学の法学教室に進学を勝手に試みる伊藤。お見合いをよく思わないのはわかるが、自分の意思で親に内緒で願書を出してしまうのは、この時代には凄い勝手な決断だろう。

そして、小林と岡部、石田が知り合いだったということで、それが簡単にバレるのも面倒くさくない設定でよし。で、今日の石田が伊藤にお見合いの席の着物を買いに行ったところで、松山ケンイチが失礼な女性蔑視発言。それに怒って、石田が呉服屋を通り越して、本屋で六法全書を買うという顛末はなかなか痛快だった。ここで石田は伊藤に「覚悟はあるか」と聞く。ここで言う覚悟は時代の中で、女としてある意味マイノリティーとしての生き方をすることに対して言っている。そう、ここで、壮大なこの物語の中に多くのハードルがあることを予期している。石田ゆり子の言葉にすごい力を感じた5回目だった。

今日の最後はお茶の水の聖橋だろう。そう、今回の話は初めから東京の話なんですよ!これ、重要。そして、1週目を見る限りは傑作になる予感がしたので、ここに記して置きたくなりました。次週からの展開すごく楽しみだし、伊藤沙莉、この役でもっと大きくなることは確かなような気がします。

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