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世の中の出来事は全てスイッチだ。スイッチの押し忘れは人の後悔になる「MIU404(第6話)」

サブタイトルは「リフレイン」。星野源の「相棒殺し」の噂に焦点を当てた回。つまり、このドラマの折り返し点であり、後半へのブリッジ回なのだろう。様々な出来事の中でスイッチを押すか押さないかは、人生の筋道を変化させる。押さなかったことで星野は、苦しみ続けていたという話。

その謎解きを、執拗に相棒の綾野剛がしていくことで、視聴者をドラマにシンクロさせていくうまい作り。綾野の過去は今ひとつわからないが、彼は、スイッチを見たら押したくなるわけで、その二人の性格の違いも明確になってくる回であった。

そして、警察とて、ただのピラミッド組織、手柄をたてるために相棒がついた嘘が、星野を怒らせるという題材は紋切り方だが、わかりやすい。死因は明確だったが、原因が自己の過失以外に見えてこないという話。結構、こういう事故は多いのだろう。そして、死因と現実がストレートに結びついてこないことも。死人に口無し。そして、噂は嘘も本当にする。人間社会は法の元に成り立っていても、心の奥底を捌き切れるものではない。警察という仕事は法のもとに成り立っている故に、そこに悩み、挫ける者も多いこともわかる。

最後のオチは、少し出来過ぎであるが、死者が助けた女性のお腹の中に新しい生命がいるというのは、綺麗だ。そして、女性脚本家らしい作りなのかもしれない。そういう夢的なものを男はあまり考えないだろうから…。

ただ、星野源が命を結構粗末に扱う様なことを綾野の前でやっていたことは、この話とリンクするのだろうか?少し、その辺は違うかなと思う。そう、この先にまだ星野源の隠したものがあるなら別であるが…。

今回は綾野の相棒が岡田健史の様な作り。岡田のスーツを赤いパーカーに変えて、博多弁もありの人間性の殻を破らせていくのも面白く、これはこれで良い相棒シーンだった。これからの岡田の行動が変化していくのか?楽しみなところ。

今回も、以前のピタゴラスイッチが出てきた。そう、人間の未来など、スイッチを入れるか入れないかだけである。そこに緊張感を持ってのぞむ人もいれば、楽観的に適当にスイッチ入れる人もいる。ただ、運命は、スイッチの動作範囲にしか至らない。そこでまたもや違うスイッチを押すのが人生だ。そう考えれば、一回の過失に悩んだところで、先のスイッチを押すしかないということだ。だから、結果に対する周囲の喜怒哀楽はあまり個の人生にはあまり関係ないのだ。

だが、周囲の喜怒哀楽をうまく自分のスイッチに変えていく様な人もいる。それが綾野剛なのかもしれない。そういう意味で、人のスイッチの押し方は他人のスイッチの押し方にも影響を与えるということは言えるのだろう。

そう考えていくと、人なんて、弱いものである。ここもこのドラマの大きなテーマなのかな?

次週の予告に塚本晋也!渋い配役の裏に何が起こるやら、さあ、ここからエンディングに向かって、二人はどこに至るのやら、…。

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