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「六本木クラス(第4話)」他人を信じてブレない男と、彼を守りアシストする者たち

とりあえず、今回で六本木の店が軌道に乗り出すところまで進んだという感じ。しかし、ここに持っていくのに、竹内涼真は自分が選んだ人間を信じて、へこたれない潜在能力を引き出すことに徹底することしかやっていない。彼の人間としてのセンス、そして生きることへのブレない意思が、周囲の人間を巻き込んでそうさせるわけである。そんな彼の姿を見て、新木優子が悟ったようなふりしてんじゃないという。そう、竹内の描き方は、悟りを開いた男なのだ。周囲の空気になびかされずに、自分の信念を波動にして集まったものに伝搬しているだけなのだ。

ビジネスの一番の本質的なものを店に注ぎ込んでいるのは平手である。だが、平手は感情に流されすぎる。それをうまく制御しているのも竹内だ。制御されることに慣れていない平手が、彼の一言で色々成長していく様もまた面白い。料理の経験もないのに、料理を任せられたさとうほなみとのやりとりも、なかなか見応えがあった。さとうがトランスジェンダーだというのは、あまりドラマには関係ないだろうが、人間が卑屈になっている情景を表すには効果はあると思った。

ただ、今回は復讐する相手、香川照之側が全く描かれてこないのはちょっとドラマ的に弱い。ある意味、香川が新木に任せている六本木の店の情景が、竹内の店が繁盛することによって、少し気配が変わってくるみたいなものを入れてもいいかとは思う。ただ、今の竹内の店のセンスではまだ、そこに至っていないということは言えるとは思うが…。唐揚げにコーラを入れれば、天下を取れるというものではないしね。

そんな、ドラマの最後には、酔っ払った新木が竹内にくだを巻くシーン。そして、新木が竹内を警察に売ったわけではないと知った平手は、そんな新木がむかついてならない。そして、彼女のよった勢いでのキスを防御。トランスジェンダーの話もそうだが、もはや、キスも男から仕掛けるものではなくなってしまったようで、こういう女の、男の唇の奪い合いみたいなもんが不自然でない時代になったということも、よく理解できるドラマである。

そして、先にも書いたが、この主人公の男の、一途さ、まっすぐさみたいなものは、今の時代の男の在り方としてはしっくりいくのかもしれない。もはや、格好つけることよりも、その佇まいに大きなものを感じさせる男の時代なのだ。世の中が二極化していく中で、人間はそこに引きずられるのではなく、どう自分をその中に投じて、澱んだものを浄化させて世の中に再生させて表現していくか、そしてそれができるものが勝者なのではという概念が見え隠れする。ある意味、韓国の儒教的なものが根底にある気はするが、主人公の着地点には興味がある。

とにかくも、次週から、対決構図が出てくるようだ。楽しみではある。

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