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「ガリレオ 禁断の魔術」科学を制するものは、世界を制することはない

この題材。科学で世の中を掌握できるという話。こういうのは、手塚治虫の漫画にはごまんと出てきた題材である。そういう意味ではわかりやすいが、ここに出てくる「レールガン」なるもの、説明はされているがいまいちわからない。まあ、こんなものができるなら、もう兵器として作られ使われているだろう。原作の東野圭吾氏が、どのくらいの物理学知識でこの小説を書いているが知らないが、理屈は合っていても、実際には色々不可能という話が多いような気がする。ただ、東野氏も1958年生まれだから、手塚漫画直撃世代なわけで、そういう意味ではこういうものが書きたいというのがヒシヒシ感じられるわけで、たまたま彼は漫画より小説であったのだろう。

とりあえず、新作映画も観る予定ではあるが、まずは、このスペシャルドラマを観る。教え子の村上虹郎が罪を犯すのを止める福山雅治演じる、湯川教授という、いつもに比べると少し変わった話。そういう意味では、最初から警察に促され警察に促されなくても、勝手に色々動く福山。そして、変人、福山が最後には教え子の良心を信じて賭けに出るスリリングさはなかなか面白かった。

ただ、この話、警察の捜査側の話にフォーカスを当てるよりも、村上が姉を殺された恨みで、レールガンを殺人兵器として開発していく方を見せた方が面白いのではないかと思った。怨恨による、頭脳集中で悪魔の兵器ができていく感じ。そして、必要だったのか?と思わせる森七菜が、なんとか止めようとするとこなどをうまく描いていってみたいな・・・。

今回は、最初、福山も犯人と間違えられるわけだが、そういう部分ももう一つドラマの構造の中で生かされていない気がしたのだ。まあ、原作があって、あまりそれをいじくりまわせないのもあるのだろうが、もう一つ、最後の村上の犯罪をするかしないかの葛藤のところが盛り上がらない感じが残念。村上虹郎という役者は、この役にピッタリではありましたけどね。

そして、いつもと違うのは、女性刑事役が新木優子であること。これは、全くダメであった。あくまでも、この役は柴咲コウが最も良いのは視聴者誰もが思っていることだろう。吉高由里子も役者として悪くはないのだが、福山との漫才みたいな掛け合いに関しては柴咲のリズム感みたいのがあっている気がする。そして、今回は福山に対し新木が突っ込むことはないし、ただの偉そうな若い刑事の域に終わっているのは、新木の女優としての今の実力というところだろう。次の及びがあるかどうかは疑問ですよね。

あと、鈴木浩介、ついに議員役が回ってきたというのにも少し驚く。まあ、殺されそうになる役なのだが、「ライヤーゲーム」で彼を知った時を思えば、時間が経たことをつくづく感じたりするわけだ。確かに、こんな感じの仕事はできそうにない議員役はピッタリである。

そして、ドラマのテーマ「科学を制するものは世界を制する」アインシュタインの相対性理論の発表から、核爆弾が開発されこの言葉は、ある意味、悪魔の言葉として成立したと言っていい。今でも、神をも恐れず、人間の好奇心はどこまでも深淵を目指して、いろんなものを作り出している。昨今は、生物兵器もリミットを超えた部分で研究されていることは皆がわかっていることだ。その限界はあるのだろうが、もはや意味のない領域と思えるものも多くみられるわけだ。基本、このシリーズ自体が、その良識から外れたところの科学がヒントになって犯罪が起こるという話なわけだしね。ドラマ的には、科学の限界みたいなものをもっと前に出してほしいのが私の本音だ。

とにかくも、このシリーズ、それなりに面白いわけで、映画の3本目は、どんな感じで楽しませてくれるかというところです。台風も去ったので、今日行こうと思っております!


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