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「さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~(第8話)」自分の夢を追いかけること、そこに没入できることが大事だということ

多分、大きな夢を果たした人が周囲に多くなっていけば、「夢を追いかける」ことを無闇に反対する世の中にはならないだろう。大谷翔平のここまでの成功を見ていても、時代は変わったように思われる。そして、親の気持ちも、ここに出てくる淵上泰史のような娘を最初から見下して、夢を見るな、みたいなことを言う親はもう、過去の価値観そのものと見えるようになってきたと思うのだが、どうだろう。

そして、そんな親に一度は負けたと思った、當間あみが、オーケストラのみんなや西島秀俊の家族に勇気づけられ、最後に今の自分の思いをバイオリンを演奏することで示すシーンは実にパワフルであり、この回の全てを持って行ってしまった。當間の演技も、随分と迫力を持つようになったなと感心させられた。この娘、最初に思った以上に天性の女優である。

このドラマのテーマは、オーケストラと西島とその家族の再生みたいなところにあるのかと思ったが、そういうものをエキセントリックに扱うのではなくて、あくまでも生きる傍らに音楽があることの素晴らしさみたいなささやかなものを描きたかったのかもしれないなと今回は思った。

だいたい、もう、クライマックスになるはずの8回目で、西島が音楽と出会ったこと、そして、何故に親の元を飛び出して行ったかという話を描くわけだ。高校で、親(柄本明)が監督で、チームではピッチャーで4番だった西島。甲子園目指していたのに、それよりも音楽にの方に強く興味を持ってしまったという流れは今の若い子にピンとくるだろうか?そう、先に名前を出した大谷翔平みたいな人がいたら、やはり野球ではないか?だいたい、子供たちがなりたい職業に「指揮者」なんて絶対に出てこないしね。そう、ドボルザーク「新世界」を聞いて目覚めた西島はかなりの変わり者である。柄本明を徹底的に怒らせることも才能かもしれない。とはいえ、やはり音楽にハマる感じの描き方はイマイチわかりにくい気がした・・。

で、彼が恩師からもらったチケットを持って東京に来るも、それを無くして心失くしてる時に、チケットをくれたのが西田敏行だったって話、いる?これ、もうこの後、お互い知らなくたっていい話だけど、まあ、「縁」と言うものを感じさせたいのでしょうな、脚本家は。

西島の母校での指揮した「新世界」と、柄本明の監督としての引退試合が重なる感じは、なかなか良かったし、近くで挨拶できないまでも、お互いにそれなりに認め合ってる親子の姿はなかなか良かったと思う。

そこに続いての當間あみの父親への宣言劇であったので、なおさら、このラストは涙腺を崩壊する効果はあった。西島や當間みたいに自分の好きなものを高校時代に見つけられると言うことは、ある意味奇跡に近いとも私は思う。今は受験シーズンも終わりの方だが、何か、いまだに受験で一生が決まるみたいなことを思っている方も多いのだろう。高校生たちの夢の強さを見せ合えるような社会がくれば、そんなつまらん社会は、一気に崩壊していくとは思うのだが・・。このドラマの奥底には、そんな主張があるのかな?

で、オーケストラのビデオがバズってると言う話が出てきてるが、これにより、奇跡が起こって、そして西島はドイツに旅立つ?だから「さよならマエストロ」。そんな気がするのですが、どうでしょうか?

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