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「恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜」個々人の足りない世界を認め合う恋愛物語。描き方に新しさを求めたい!

うおやま原作のコミックを松田裕子が脚本を書いたドラマ。杉咲花演じる弱視の少女と、杉野遥亮演じる社会から疎まれるヤンキーの男の恋愛話である。ともに、普通の社会生活にいないことで、感じ合うものがあるということか?初回の出会いから、心がなんとなく通じるまでのところは爽やかで良い感じではあった。ただ、その障害を持っているという以外に、あまりドラマとしての新しさが見えないところは、不安。松田裕子は、前作「レンアイ漫画家」においても、コミ障にある主人公をあまりうまく描き切っていなかったので、今度はどう出るのか?というところ。

主演、杉咲花は、朝ドラ「おちょやん」を終えてから、テレビとしては初主演作。演技に関しては、成長した姿をしっかり見せている。白杖をつく役であるが、特に気負いもなく、いつもの杉咲の感情表現ができているのがいい感じである。それに対して、ただ真っ直ぐな演技を要求される杉野とのバランスも悪くない。この二人のコンビネーションがこのドラマの肝であるのだろう。

そして、障害者を描いているドラマなのに、陰をあまり感じさせないのは好感が持てる。盲学校という場所が、普通の学校のように描かれているのはある意味リアルではないのかもしれないが、見ている方としては安心しながら彼らを応援できる感じがいい。こういうドラマは、障害者の現実を知ってもらって、我々が彼らにどう協力していけばいいのか?ということを発信する場でもあると思う。そういうことをさらりと描いてほしいと思ったりする。

しかし、同級生の細田佳央太、「ドラゴン桜」のサヴァン症候群の生徒に続いては、全盲の同級生役、本当になんでもござれの状況は、彼自身を今後どういう役者にするのだろうか?と期待というか、なんというか?面白い役者になっていくのでしょうな。

あと、脇役では、映画「マイ・ダディ」でも好演していた、奈緒。女優として独特の味が出てきた感じ。ここで演じる、杉咲を心配する姉という役もぴったりであるし、彼女の心配そうに杉咲を見守る眼が良い。

話としては、それほど突飛な話は期待できないし、障害者と健常者の分かり合えないもの、そして、同じ人として分かり合えるものをどう描いて視聴者に訴えてくるかなのだろうと思う。普通にそういう部分を綺麗に描いてほしい。

初回の公園のマリーゴールドの話は、なかなか綺麗で、描かれるその情景もよかった。だが、今更「青い山脈」の「恋」と「変」の違いみたいなセリフは余計ではないか?漢字を知らない人は、そんなことを考えないで書くわけですしね。でも、導入はそこそこのドラマの始まりでありました。

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