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「津田梅子 お札になった留学生」明治期の近代史と日本女性史は、もっと描かれるべきだ。

昨年の大河ドラマ「青天を衝け」は、今まであまりドラマとして描いかれていなかった、明治期の日本の動向をドラマにしたことで、かなり新しさを感じた。現在の学校の歴史教育の中では、時間が足りないこともあり、ほぼ教えてもらえない明治期の近代史が、それなりにわかり、興味深いものだったからだ。そこでも、政治をやる上で、国際化のために女性が必要な時代に入ったことを、結構、前に出していたが、それは、現在まだ、女性の社会進出に色々問題があるがゆえ、そしてそこに注目が集まっているゆえだろう。

そして、このドラマも、同じ時代の女性を主人公にすることで、明治期の女性が仕事をすることの大変さと、自分の思うことに突き進む華麗さみたいなものを描こうとしたものだと思う。津田塾大学の創始者の津田梅子は、今年5千札に登場するわけだが、個人的には、その名前以上のことをほとんど知らなかった。友人に津田塾大学出身者もいないし、縁がなかった気がする。そういう意味では、なかなか面白いドラマであったと言っていい。そう、テレビドラマという形で、新たな興味がそそられれば、それは一つの成功だ。

主人公が6歳で留学したということにまず驚くが、その幼少期に外国で学んだゆえに、まあ今の帰国子女以上に苦労があったことは想像につく。その辺りは、このドラマではかなり和らげてあるのではないだろうか?まあ、同じ境遇の年上の友人がいなかったら、彼女自体が存在できていたかどうかもと考えてしまったりする。

その大役を広瀬すずが演じている。佐久間由依や池田イライザに比べれば、経験値の差か、それなりにヒロインの雰囲気は持っているが、どうも、津田梅子というキャラクターに今ひとつ同化していないという感じは全編に感じた。これは、脚本、演出自体が、時代の上部をすくおうとした様に見えるからだろう。そして、大学を作った人であるが、女性だったこともあり、資料が少ないということも考えられる。伊藤博文や森有礼などとの交流は史実なのだろうが、それがどのくらいのものだったかは曖昧なところも多いのだろう。そう、明治期の女性というものを描き切るのは難しいのだろう。だから、伊藤博文が女たらしだったところはちゃんと描いてあったが…。

しかし、ディーン・フジオカはこの辺の歴史劇には必要不可欠な役者になってきましたね。存在するだけで説得力みたいなものを持ってしまう感じになってきています。今後も、調法がられるでしょうね。

全般的にドラマとしては、中の下みたいな出来でしたが、最初と最後の広瀬が老いた役を演じる、原田美枝子はさすがの存在感。広瀬が、この7割くらいできるとまた、ドラマも締まったのでしょうが、5割も行っていませんでしたね。でも、華族女学校で教師になって、生徒たちを鼓舞するようなところはなかなか良かったと思います。あと、2、30年経って、広瀬すずが原田美枝子みたいな女優になっているか?といえば、これからの経験と自分のモチベーションをいつも上げていく必要があるでしょうね。

このドラマのテーマとして、最後に、津田梅子のモチベーションが「国への恩返し」ではなく「未来の女性たちへの恩返し」と転換したことが挙げられていますが、ここは、私も同感というか、この言い方はなかなか素敵だと思いました。そう、今、生きている我々は「未来の人たち」に恩返しできるようにしないといけないのかもしれません。


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