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2021年新作テレビドラマ放浪記

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2021年のテレビドラマの感想記録です。
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2021年10月の記事一覧

「SUPER RICH(第3話)」0からのスタート。面白くなってきた!

前の2話は、この会社が飛ぶ鳥を落とす勢いのベンチャーからの失速落下までを描いていたわけで、ここからがスタートという感じで再スタートの仕掛けを行っていくところ。それもあるのだろうが、ドラマの勢いが変わってきた。ここからが本番というところなのだろう。 話も再建の仕掛けから始まって、そこに現れるファンドの思惑とも絡まり、会社の生き残りの日々が始まるといった感じ。そして、ラストは、0になったんだから、面白いものしか作らないという宣言。なかなか今、このドラマを見て意気投合という人も多

「おかえりモネ」心のわだかまりを解消する話だったのですね。気象予報も心象予想も難しいということ?

 NHKの朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」が終わった。今回もとりあえず完走ができたが、ここに感想を書くことに筆が進まなかった。つまらなかったわけではない、全て見て振り返れば、お話としてドラマの脚本としてまとまりはあり、そういう意味ではこれを傑作と評する人も多いだろうと思う。そして、全体のいまいち暗いトーンを考えると、朝から見るには辛い感じのシーンも多く、こういう話を朝に毎日見させるのはどんなものか?と思われた方も多いのではないか? つまり、今までの朝ドラとはちょっと毛色の

「恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜(第4話)」白杖の子が仕事場に新しい風を吹かせるということ

主人公が白杖の女の子という以外は、ベタな恋愛劇である。しかし、そんなものに涙するような作りがこのドラマが好評な所以なのだろう。今回は、杉咲花が初めてのバイトをする話。最後に仕事ができた時の喜びが見ている方に伝わってくる感じは高揚感に満ちていた。まあ、これほどうまくいくためには、杉咲の「仕事がしたい!迷惑かけたくない!」という思いがあるということだ。そう、何事にも全力で向かえば、それが笑顔に変わる。そんなことを思えるドラマに仕上がっている。それは、作り手の思い出もあるのだろう。

「アバランチ(第2話)」いろんな人々の企みが見え隠れする面白さ

こういうドラマは週末に放送するのがいい気がする。世の中の偉そうな巨悪を大衆の面前に曝け出し懲らしめる話。そう、一週間のうさを晴らすような醍醐味がそこに存在するからだ。まあ、月曜日でも、快感のあることには変わりないが…。 2話目は、カンボジアへの支援金30億円をちょろまかした話。それを知って殺されたのが千葉雄大のお姉さんだったという仕込みはあってもなくてもよかった気はするが、千葉自身の正義感的なものを見せたかったのだろうか? そう、最初と最後に、このアバランチのグループが集

「ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~(第4話)」病院や検査は健康を確認するところでもあるという見方

先週は、浜野謙太扮する、軒下が、マッチングアプリで知り合った美女、堀田真由が他人の顔の識別ができなかったと言う話。浜野が最後に自分を隠して彼女を送り出す姿が古典的だが、格好良かった。 そして、今回の主役は山口紗弥加扮する黒羽たまき。ぎっくり腰の話から、お母さんの中田喜子が訪ねてきて、結婚の心配。そして、倒れるという、このシリーズではよくあるパターン。しかし、中田さん、歳はとっても、雰囲気は昔のままですね。なかなかの女優さんです。 まあ、その中田さんの倒れた理由は、みかん農

「日本沈没〜希望のひと〜(第3話)」災害は突然襲ってくるから、静かな東京?

「災害は突然襲ってくる」と小栗旬は言うわけで、田所博士が大変だと言っていたり、島が一つ沈んだ割には、今回も地震が起こらない。これは、「突然襲ってくる恐怖」を強く描くためなのか?どうも私的には納得いかない。まあ、描きたいのは、そんな地下で起こっていることよりも、地上で起こっているリスク回避の流れなのだろう。地震が頻繁に起こっていたら、事を先延ばしにするわけもなく、という脚本家の論理なのだろう。 今回は、そんな煮え切らない楽観主義の人々に対し、小栗旬と杏が、新聞社にリークしたと

「二月の勝者〜絶対合格の教室〜(第2話)」幸せの予感の向こうにしか成功はない?

毎回、一人の生徒を中心に受験の風景を描いていくのだろう。井上真央が普通の人の考え方であり、それは視聴者目線でもある。しかし、ここを少し俯瞰したところから見て、ちょっと違う方面から解析して子供達にやる気を出させるのが、ここの主人公である柳楽優弥のあり方である。 しかし、最後の方で柳楽が入っていった地下のクラブはなんなのか?ここにもう一つ謎の塾みたいなものがあるのか?まあ、ただの塾経営ドラマではないようだ。この辺りはちょっと新しさを感じる。 今回フォーカスが当たるRクラスの塾

「最愛(第2話)」15年の時空の中の秘密と心の変化のありようを描こうとするドラマ

なかなか、演出の絵作りが細かく処理されている。出演者の心根をしっかりと描こうとしているのだろう。そして、15年間の空いた過去と現在をうまくつなぐ感じは好感が持てる。 それを成功に導いているのは、吉高由里子の存在感に他ならないのだが、松下洸平が出現することで、多少の動揺が見られる演技がなかなか上手い。今回は、最初に「初めまして」と言っていた吉高が、最後に松下のことを認識していることがわかるまで。 とはいえ、15年前の殺人劇の真相が語られる。なかなかおぞましい殺人シーンであっ

「SUPER RICH(第2話)」事務所が変わり、やっとスタートモード!

結局、借金が払えず、全てを捨てたお嬢様社長の江口のりこが再スタートというところで、ここからが本題なのだろう。とはいえ、野良犬の赤楚衛二はまだ社員になったわけではない。でも、赤楚がこのドラマにあって大きな意味を持っているのは、町田啓太が彼に自分の過去を見ていたりしているのを見てもよくわかる。ここでは、皆が経済的に赤楚のラインに戻ってしまっているわけで、その中で彼がどういう化学反応を起こすかということなのだろう。この役に赤楚を使ったのは、なかなか良いと思う。 そして、なんと言っ

「恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜(第3話)」ほんの小さな成長物語が世の中を支えたりするのではないか?

普通でない2人が出会って、自分を変えていく物語である。そう、障害者の物語という点よりは、あくまでも、ちょっと足りないと言われる人間が成長していく話である。そして、それは健常者と言われる人と何も変わりないではないかと思わせるところにこのドラマの良さがある。3回目で二人はお互いが必要なものとしてラストを迎えた。 先週の最後、姉の奈緒が二人とあってしまい、一瞬で妹を連れ帰ったという顛末。そして、今回はその次の朝、料理をする杉咲の姿から入る。視覚障害者が料理?と思ったが、こういうふ

「アバランチ」ネットを使えば、主権は国民に還るという話?

綾野剛主演ということしか事前に知らずに見た。なかなか面白い切り口だとは思った。現代の「必殺」「ハングマン」というところだろうか?最初から、闇に落ちそうな事件を解決する「アバランチ」というグループが政府とつながっていることもバラしている。つまり、国の大掃除の話なのだと思う。そして、最後はただ加害者を殺めるのではなく、インターネットに犯人の姿を曝け出し、ネットリンチのような状況に追い込むということだ。そう日本の主権は国民にある。多くの国民がその闇を知り許さなければ、自然に国はよく

「日本沈没〜希望のひと〜(第2話)」利権のしがらみよりも、物理的な恐怖を伝えてほしい

1回目で一蹴された「関東沈没説」を政府が真剣に考え出すきっかけになる、田所の発言「関東沈没が一年以内にはじまる」までの第2話の展開。少し長めに作った割には、次の地震みたいなものは起こらないし、少しサスペンスフルなものが足りない感じがした。そう、この話は、政府がどう危機管理するかということと、庶民の生活が脅かされる二面性をしっかり描かなければいけないと思う。そういう意味では、今回は今の日本の危機管理の本質を描きたい方が勝っているのだろうか? 週刊誌記者の杏に対し、主演の小栗が

「二月の勝者〜絶対合格の教室〜」柳楽優弥の怪演を期待するビジネスドラマ

学校と塾の違いは、学校は「子供の将来のために教育するところ」に対して、塾は「子供の受験を利用して金儲けをするところ」といえば明確だろう。もちろん、世の中の商売、金儲け主体に走ると失敗することが多い。だから、塾というものも結果を出して、親というクライアントに喜ばれなければ2流というところだろう。そういう視点を明確にしたドラマになりそうで、わかりやすく、興味深い。 原作は、高瀬志帆原作のコミック。主演は柳楽優弥。コミック原作の柳楽といえば、アオイホノオのホノオ君の怪演を思い出す

「最愛」吉高由里子の女優生活のこれまでの集大成になりそうな濃厚なオーラ

やはり、ドラマはTBSか!と思わせるような先を期待させる初回だった。プロデューサー・新井順子と演出・塚原あゆ子の作品。そして、脚本は、奥寺佐渡子と清水友佳子のオリジナル。この女性スタッフのドラマがこういう濃厚さを示すのが現在の日本のエンタメなのだと私は思う。そして、初回を見て、一番感じたのが、吉高由里子の重厚な存在感だ。 このドラマ評を書き続けるにあたり、私は日本の現在の女優さんたちが、映画黄金時代の方に「今、女優っている?」と言われるようなものではないということを重ねて書