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2021年新作テレビドラマ放浪記

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2021年のテレビドラマの感想記録です。
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2021年6月の記事一覧

「シェフは名探偵(第4話)」いつも笑顔で迎えてくれるレストランの意味合い

冒頭から客の理不尽な叱責に憤る、濱田岳。これが、今回のテーマだったわけだ。店を開くものも、客もお互いに敬意を示さなければいけない。他人に対する差別などなく、いざこざもなく、嘘もない中で、幸せな空間を作ることが重要だということだ。これは、レストランという特殊な空間に限ったことではない。そして、世界中のいろんな現場でこのような事件は起こっているだろうと思ったりもする。なかなか奥が深い回だった。 最初のお話は、トランスジェンダーの人がそのことを隠して、女性だけで運営しているレスト

「ドラゴン桜(第10話)」現実の醜い大人たちと、夢ある東大生たちの対比でボルテージを上げたラスト。

ラストは、自信をもって語る阿部寛のアップで終わる。そういうドラマなのだろう。だがここには、教師とは、明るく前を見て力強く教育を行なって欲しいという望みも入っている気がした。 最終回は大人たちのタチの悪い密談現場から。およそ東大受験ドラマではない。と言っても、この日曜劇場の時間帯では、こういう雰囲気が受けるのでしょうね。そして、この最初のシーンと、最後のどんでん返しがこのドラマを最後に盛り上げていたのも確か。テレビ視聴者の毒々しさみたいなのを予想してる感じがここに見えますな。

「生きるとか死ぬとか父親とか(第12話)」相談ができるということ、相談されるということ

吉田羊と國村隼が父娘を演じるこのシリーズもこれで最後。前2回は娘から見た母の思い出を語った話だったが、最後は現在に戻る。そして、再度、ラジオのスタジオから。そして、プロデューサーから「昼帯」のラジオをやらないか?という誘い。ジェーン・スーさん、そのものの流れをここにおく。 そして、國村隼との買い物デート。いつものように食い違うセリフの面白さはあるが、母親のことではシンクロする。まあ、世の中の父娘としては、このお父さんは幸せな気がする。ある意味、現代をよく現した話であり、この

「着飾る恋には理由があって(EPISODE LAST)」 とても綺麗な結末の個々の未来が感じられる恋愛劇

先週の最後の川口春奈と向井理の姿を見たら、最後はどんな変化球が飛んでくるのか?とも思ったが、とても綺麗な終わり方で、笑顔のまま見終わった。そう、テレビドラマって、そんなに癖がなくてもいいのですよね。明日の活力になるものなら大歓迎と言った感じ。 ラスト、横浜流星が北海道ではなく、全国をキッチンカーで回るという決断をするのは、結局は彼も、川口と同様に、多くの人と繋がって、笑顔に触れられる人生を良きと思ったということだろう。そのきっかけを作ったのが、川口のインスタからだったという

「シェフは名探偵(第3話)」洒落た大人の恋愛劇が成立するレストラン

第3話は、シェフがシェフに惚れるお話と、神尾佑の昔の恋のお話。どちらも、洒落た大人のお話で、テレビの11時台の寝る前にお酒とともに見る感じには良いドラマだった。昨今は、本当にターゲットがどこにあるのかわからぬドラマが多い中、子供の入る余地がないような舞台でのドラマはなかなか素敵である。 まずは、神尾の奥様がシルビア・グラブで、歌も披露してくれるのは、ドラマとしては豪華な感じ。こういうライブもなかなかできない現状を考えると、見ていて涎が垂れる感じもする。大体、こういう料理が主

「ナイト・ドクター」医療ドラマに目新しさをみることはできないのか?

昨年の今頃は、テレビドラマの製作がやっと再開された時期である。その頃から、医療ドラマは病院のロケがしにくいこともあり、各局とも避けていた感じがある。それが、ここにきてまた復活してきた。人間を描く上で医療現場というのは作りやすいということはあるが、さまざまな医療が大変な時期に、意味のあるドラマにしていただきたいと思うところはある。 夜間専門の救急医という目の付け所は悪くないと思う。だが、初回を観る限りでは、今までの救急救命ドラマとあまり代わり映えはしないし、スーパードクターが

「ドラゴン桜(第9話)」ドス黒い裏切りで終わるラス前

ラストの盛り上がりを、学園買収の話で盛り上げるのはどうかとは思う。そして、味方と思っていた人々が、全て敵だったという構図。大人は醜いという感じの振りが、大学受験とは合わない気はする。とはいえ、東大受験ビジネスなどというものは、大人が儲かるためにできているとも言える。青春の努力などというものは、利用されるだけであり、東大というその目標地の意味合いも、「そんなものか」と思わせる作りのドラマであることは確かだ。そして、日本の大学が今ひとつ世界に対し意見できない状況は、こういう部分が

「あのときキスしておけば(最終回)」魂レベルで皆が幸せになるラスト

振り返れば、本当に優しいドラマであった。魂レベルの愛情に溢れるドラマということだろう。LGBT、マイノリティーという言葉が氾濫する時代に、愛情の本質を見せられるようなラブコメだったと言えるのだろう。最後は、ちゃんと元の生活に戻してるしね。 海辺のキスシーン。それが松坂と麻生の最後の再会になったというところから最終回が始まり、そんな中で、二人の結婚式の準備が始まる。そんな中でも、魂の麻生久美子は、さまざまな人に別れを告げていく。しかし、結局、どうなると、蟹釜ジョーになり、どう

「コントが始まる(第10話)」解散後のエピローグの刹那さ、そして抜群なラストに唸る!

今期のドラマの中では、最高に面白かったし、次の回が待ち遠しいと言える唯一のドラマだったろう。それは、視聴者が皆、マクベスから目が離せなくなるような、有村架純の視線にシンクロしていくような作りだからだろう。そして、み続けているうちに主役の三人が皆愛おしくなっていく。いや、私のように歳がいったものは、はるか昔のその日の無謀さを思い出したりする。時代などにとらわれない、永遠の青春像がそこに描かれていたからだと思う。 最終回は、ラストライブ中心に動いていくのかと思ったら、それはダイ

「生きるとか死ぬとか父親とか(第11話)」父親との確執を描くという難しさ

このシリーズ、最初に、少し浮世離れした父親の困ったところを描きながら、父娘、家族というものを描いて、その先に、死んだ母親、その時の父親の姿を描く。そして、今回は母が死に、父親の秘密を知り、住み慣れた家を離れなくならなければいけなくなり、家の整理をして、母親の隠していた思いも知るという、なかなか重い回であった。 とにかくも、自分にとって許せないことを書くというのは、簡単そうで難しいということなのだろう。そして、書いてしまうと、読者によっては、それをさらりと流してしまいそうなこ

「着飾る恋には理由があって(EPISODE9)」 社会に生きる女の気持ちがわからぬ男たち

本格的に恋愛模様が進んでいっているラス前だが、女たちは自己承認されない心の中で迷走している感じ。一昔前のドラマなら、女たちは男たちの強い言葉についていけばドラマは成立したように感じる。だが、現代に生きる女たちは、自分の未来を明確にしたいがために生きているという感じで、男の夢が明確だからと言ってそこについていくだけが恋ではないのだろう。いや、そういう男の思いの中に溶け込むことでは愛に昇華しないというのだろうか?そんなものを感じたりした。 だからこそ、彼女が泣いているのを道を歩

「大豆田とわ子と三人の元夫(第10話)」 その人が笑っていてくれればそれでいい!そういうドラマなのかね?

特にドラマチックに終わることはないだろうとは思っていたが、その通りだった。ラストに元夫たちの三人の女たちは出てきたが、オダギリジョーが出てくるわけではなかった。現代のリアルにあるドラマは、この程度の寄り添い方や離れ方を繰り返しているようには思う。そう、人の惹きつけられる磁力というものは、そんなに強くないし、そんなに弱くもないということなのかもしれない。不思議な後味だが、2021年の今の都会の男の女の位置関係みたいなものがそこに見えるような気がした。 大豆田とわ子という人物を

「シェフは名探偵(第2話)」食の記憶は、心を動かすというお話

始まって、1週空いたのは、制作の進捗の関係だろうか?今週のを撮るのに「ガチョウ」が届かなかったとか?そんなことはないかw。 ほぼ店の中だけで展開されるドラマだ。舞台を見ているようであり、そうではないところが魅力だったりする。そして、西島秀俊という役者の魅力で成立しているところがある。とはいえ「おかえりモネ」の気象予報士の彼とあまり違いは感じられないのは、少し不満だったりする。でも、他の店員3人とのチームワークみたいなものが大切になってくる分、こちらの方が濃厚な芝居?当たり前

「ドラゴン桜(第8話)」平手友梨奈の表情に若い夢の清さを見る

今週が、夏休みの風景で、次週がもう共通テスト本番になるようだ。あまりにも時間を端折りすぎだと思うのは私だけではないだろう。受験というものをしっかり描きたいなら、ワンクールの10回前後では足りないのだ。昔からテレビドラマというものは、クール単位で回数が決められるが、15回とか18回とか、中途半端でもいいのではないか?テレビドラマの回数は、局の都合で決められているだけで、観ている方に合わせているわけではない。視聴率が悪ければ簡単に少なくしたりするのに、伸ばすことはしないのは、ビジ