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【ロシア留学記】日米伊三国同盟でカルチャーショックを乗り越えろ!

いまからもう10年も前の2013年、当時高校1年の冬ごろ。「留学行ってみたいな」と思ってしまい、あれよあれよと勢いに乗って留学に行くことに決定。留学先はなんだか呼ばれた気がしたのでロシアにした!ロシアについて知ってることは世界一広い国土と寒いことなど、義務教育で習ったことだけで、ロシア語の挨拶さえも知らない。この【ロシア留学記】は、海外に憧れる普通の女子高生のロシア大冒険の記録である。

ロシア留学記 前書き

ロシアの田舎町にいる外国人は日本人、アメリカ人、イタリア人の3人のみ

わたしが住むことになったロシア南西部の田舎町には、同じプログラムからアメリカ人のカラちゃんと、イタリア人のシモネんが一緒に行くことになった。

モスクワのオリエンテーションで、名札に同じ名前が書かれていたので、「同じ町だね!よろしくね」と言ったところから、わたしたちの関係性はスタートした。スタートした、と言っても、オリエンテーションで交流することはほとんどなかった。なぜならふたりはみんなの中心でキラキラしているような、いわゆる陽キャで、陰キャのわたしとは離れた存在だったからだ。果たして仲良くなれるのか?

わたしたちは3人とも同じ学校に通うことになった。

ロシアの田舎暮らしが始まったのは夏休み期間だったので、3人だけのロシア語授業をやってもらうことになった。ほぼ毎日あったので、わたしたちは毎日顔を合わせた。さらに、(田舎すぎてロシア人しかいないので)言わなくてもわかる『なにかあったら助け合えるのはお互いだけ同盟』による一体感で、わたしたちはどんどん仲良くなった。

この喜怒の激しさは一体なにごと?切り替えのプロですか

留学生の対応とロシア語講座の担当は、この学校で社会科を担当している女性のエレナだ。エレナは長く留学生と関わっているらしく、わたしたちの対応も手慣れたものだった。エレナはなぜかイタリア語が話せたので、よくシモネんと雑談しては「Sì〜〜〜」とか「Mamma mia〜〜〜!」とか言っていた。マンマミーアがイタリア語だったことをロシア人から学んだ。なお、シモネんからはマンマミーアを聞いたことはない。

ただ、エレナはカラちゃんには当たりが強かった。当たりが強かった、というのは、なんか暴言を言っているわけではなく(言われていたとしてもわからなかったが)、言い方が強かった。カラちゃんがサボっているとかそういうことは全くなかったので、わたしは「ナンダコイツ〜😤(怒)」と思いながらその様子を見ていた。が、次第にわたしにも当たりが強くなってきて、「ナンダコイツ〜〜🥺🥲(泣)」と気持ちはどんどん弱気になっていった。

とはいえ、毎日そうかと言われるとそんなことはなくて、楽しく談笑することもある。嫌な人ではなさそうだが、この喜怒の激しさは一体どういうことか?「ねえ…エレナのあれはどういうことなの?」とついに耐えかねたらしくカラちゃんがわたしに問いかけた。「それね…わたしも思った。あれはなに?」

夏休み期間も終わり学校が始まっても、ありがたいことにエレナは毎日ロシア語授業をしてくれていた。エレナは中学3年にあたるクラスの担任でもあったので、わたしたちはよくエレナの教室に行って授業の隙間時間にロシア語を教えてもらった。

あるとき、エレナはものすごい剣幕でクラスの男子に怒鳴り始めた。まだなにを言っているのかはわからなかったが、ものすごい。わたしたちは1番前の席だったので後ろの皆がどんな雰囲気かはまるでわからないが、もう小心日本人のわたしはドキドキである。え…これはいつもの、帰れって言われるやつか、職員室に戻っちゃうやつなのでは?

しかし数分怒鳴ると、エレナは何事もなかったかのように授業を再開した。なんなら、シモネんとニコニコ話している。どういうことなのか?気分切り替えのプロなのか、シモネんがすごいのか?

チャイムが鳴ると生徒の皆も、もはや怒鳴られてた張本人さえも”怒られた空気感”ではなく、普通に会話している。

そんな状況はその後何回もあった。そして気がついた。それはエレナだけではなく(エレナの迫力が1番だったが)、ホームステイ先でも、学校の他の先生でも同じなのだ。

さらには、ロシアのテレビ番組でも(見ていたのが過激リアリティショーだからなのか)怒鳴っているので、もうこれはデフォルトなのか…?だとしたらカルチャーショックはこの点一強である。カルチャーショック常連の食事については美味しすぎて全く問題ない。

ロシア人は朝から眠くない?

ある日の朝、わたしは廊下でロシア人の生徒と挨拶を交わしていた。「ルン、調子はどう?」「ん〜、朝は眠たいね」「眠いってどういうこと?!?!?」後ろから、エレナの怒鳴り声が聞こえてきた。え、朝は眠くないですか。っていうか、そこ、怒るポイント!?日本では普通な会話だったが、あくびをするのが失礼、みたいな感じで、「眠い」というのはロシアでは大失礼なのだろうか?!すみませんでした!!もしかしてロシア人は朝への適性がすごいのだろうか。

「あのさ、朝、眠いねって話しするのは、ロシアではよくないことなの?みんな眠くないの?」わたしはクラスの友達に朝早速聞いた。「えっと…眠いし、悪いことではないよ」

そうだよね?朝が眠いは万国共通だよね??どうやら遺伝子レベルの朝適性が原因というわけではないようだ。となると次の疑問は、なぜそのことで怒られたのか?だった。

「だよね?それを言ったら、エレナに怒られたんだ…」わたしは思い出すと恐怖で泣きそうだった(異国の地なのでセンシティブ度は日本にいたときより120%増し)。「ルン、エレナはね、いつもあれだよ。気にしない気にしない。」

そうだよね…と言いつつ、心の中は「いや〜気にするって!」で全会一致である。

留学先はアメリカにすべき…と思いきやまさかの事実

わたしとカラちゃんは、もうどうすることもできず、とはいえ慣れることは簡単ではなく、わたしたちのこの悩み話はカラちゃんの「ルンは留学先を絶対アメリカにすべきだった」という結論で終了した。

シモネんは相変わらずエレナと仲良しだったが、エレナが授業開始時にいないと「もういいんじゃね?帰ろうぜ。エレナの怒鳴り声聞きたくないし。な?」と1番始めに言い出していた。しかし来るとテキストを真面目にこなしイタリア語で談笑するので、シモネんはかなりの世渡り上手であることは明白だ。

怒鳴り声の受け入れ態勢が確率できてきた秋ごろ(さすがに3ヶ月もすれば慣れるようだ)、「ねえ聞いてよ…」とカラちゃんが真剣な顔で話し始めた。「わたしたちが怒鳴ってると思ってるの、ただ大声なだけらしいよ」

わたしたちよりロシアに一足早くきていた留学生がそう言っていたらしい。どうやら伝えたい熱意が出過ぎているようだ。
それはつまり…『眠いの!?事件』も「眠いの!?(ちょっとちゃんと寝ないとだめよ!!健康健康!)」という優しい怒りだったってこと…!?

超愛深い…(もちろんちゃんと怒られたときも多々あったが)

それに気づいてから慣れて、なんなら同じ勢いで言い返す!くらいには、1年ほどいただけでは全くなれるわけもなく、わたしはロシア人にはなりきれなかったのだった。

歴史上1番結束していく日米伊三国同盟

たまたま見つけたYouTube。ロシア人お墨付きだった。(笑)

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