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蝕まれる。の最中で

今日こそは定時で帰るぞ!
と意気込みながら毎日薄暗いデスクに座る。
入社して4ヶ月
定時で帰れたことはない。

朝6時すぎに「起きたくない」と叫ぶ体を叩きおこし支度する。甘いものを食べ、職場に向かう。そして息をゆっくりできないまま、減ってもいないお腹に15分間のエネルギー補給タイムがやってくる。この休憩と呼んでいいのかわからない休憩中も右手は仕事を止めることを知らない。止めれないのだ。

朝仕事を始めた時から、右肩上がりのスピードと勢いで午後も走り続ける。トイレに行く数分の時間でさえも惜しむ(前任者は我慢しすぎて膀胱炎になったぐらいだ)。そして気づけば定時のチャイムがなる。

今、自分がしている業務をこなせるのは自分と前の席の人しかいない。その人には小学生の子供がいる。ひとり親だ。つまり、休みを取ることが多いのだ。休むことに関して文句は一切ない。子供との時間を大切にして欲しい。だが、せめてあと一人、自分と同じ業務ができる人が欲しい。10人ぐらいが1日かけてしてきた仕事を、自分1人8時間内でこなせるわけがない。

ほんの少しでいいから誰か助けて欲しい。
蝕まれている。

人を雇って育成すればいいと初めは思っていたが、どうやらお金がなさそうだ。お金がないんだなと気づいたエピソードとして、業者への滞納の電話がよくくる、電話回線が切れる、ゴミを収集してもらえないなどが挙げられる。

力ない目で笑うしかない。
蝕まれている。


なんとか激務を乗り越え、車を走らせる。意識が朦朧とするのだ。目の焦点が合っていなくて、誰かがアクセルを踏んでいる感覚をどこかで感じながら。赤信号で止まっていると、気づいたら目を閉じている。クラクションを鳴らされハッとする。

こんなことを思う反面、自分よりも過労死してしまわないか心配なほど死に物狂いで働いている人は山ほどいるわけで。お前ごときが弱音を吐くなよ。自分にさらに嫌気がさす。

帰りの車一人音楽を聴きながら涙が頬を伝う。
そんな日々を過ごす中、さっき家になんとか辿り着きマロン(犬)を触ろうとするとものすごい勢いで噛みついてきた。腕に衝撃が走った。

歯形を残し血が出る左手、自分は噛まれないだろうと信じていた心、その二つに深い傷を負った。

なんだか最近うまくいってないみたいだ。

神様からの試練だろうか。

そんなことを思い今日も明日を迎えるために眠りにつく。

おやすみ。
きっといい日が来るよ。




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