ギャルと何者かになりたかった自分のはなし

朝、髪の毛を巻いた。毛先を中心にくるくると巻いて、ワックスを付けていい感じにふんわりほぐす。その一連の動作をしながら、ギャルの巻き髪っていいなと思った。

ギャルになりたかった。過去形だけれども。むしろギャルじゃなくてもいい、ヤンキーでもよかった。中学生、高校生、そして大学に行っていた頃、私はいつも何者かになりたくて何者かになれない自分に苛立っていた。

今ではふわふわ生きてそうとか考えてなさそうに見えて意外と考えてるとか言われるけれど、学生時代は真面目と言われることが多かった。真面目にやってればいいことはあるし、間違っていない。でも私は真面目じゃない自分になりたいと、どこかで思っていた。

その頃の自分とまったくの正反対に位置していたのが、ギャルだった。お洒落で可愛くて憧れた。中学生の時、友達と髪の毛を染めてみようかと相談したけれど、結局バレたら大変だしなと思ってやめた。

ピンクのマネキュアをしたまま学校に行った。ネックレスをしてみた。スクールバックに沢山キーホルダーを付けてみた。これがその時の私なりの精一杯の何者かになる方法だった。

高校生の時に付き合っていた彼氏はヤンキーだった。毎日部活に明け暮れる自分と同い年で職人をやっている彼。毎日まったく別の世界の話をしながら、彼がいる世界に少し入ってみたいなと思ったりした。でも逆に彼は私の生活を羨ましがった。

結局人はないものねだりなのかもしれないなと思う。自分にないものを求め続ける。自分と全くおなじ人間なんていないし、自分と違う世界を生きている人の話はおもしろい。

何者かになりたかった私は、誰かのなりたい姿だったのかもしれないし。

職人をやっていた彼とは卒業前に連絡が途切れた。けれど、大学の新歓のようなところでやったクイズでヤンキーと付き合っていたことがありますと言ったら、みんなが私を覚えてくれたし場が盛り上がった。

その時言われたのが、ホットロードじゃんだった。あれも受験生のとき、友達と3人で見てきゅんとして泣いたな。

あの頃まっすぐだった髪の毛は、綺麗にふわふわに巻けるようになった。

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