「未来の子供たちに贈る」写真で記録する環境の変化と希望
第1章:今、ここにあたりまえのようにある景色
写真を撮っていると、やった!と思う瞬間があります。
その時、その場にいる人しか見られない瞬間。それを写真に捉えることができた時の嬉しさが、写真を撮り続ける原動力となっています。
それは、時には赤ちゃんのかわいさだったり、誰かの記念日のポートレートだったりします。
そしてしばらく時間が経つと気づくのです。その写真が大切な思い出になっていることに…。
昨年亡くなった私の親友は、今もみんなで訪れたテーマパークで撮った写真の中で笑っています。その時、こんなにも早く天に帰ってしまうとは、誰が想像できたでしょうか。
自分の周りにある全てが、永遠ではない。
それをわかっているようで、わかっていない。そこにあるのがあたりまえのようで、ある時それが失われて初めて大切だった事に気づく……。
子供は大人になり、行きつけのお店はオーナーが代わり、また来ようねと約束したテーマパークへ親友と一緒に訪れる日は、もう来ない。
一期一会。
そんな目線で自分の周りを見渡してみると、身の回りの環境も、景色もどんどん変わっていることに気づきます。新しい道や、駅ができ、道端の雑草の植生が変わり、最高気温が上昇している……。
先日X(旧Twitter)のポストでこれがバズっていました。
ユーミンの曲に乗ってリプライも盛り上がっていました。
そう、日本の夏は30℃くらいでしたよね。
そして、スイカを水で冷やしてスイカ割りしたり、プールで甲羅干ししたり…
日本の夏の風景も変わりつつあります。
今ではプールサイドは素足で歩けない暑さ。水溜まりでは水が熱くなってボウフラが死んでしまうのか、以前ほど蚊が発生していません。そして夕立とは似ても似つかないゲリラ豪雨。
私たちの周囲を取り巻く環境は、街も、自然も変わってゆきます。
この写真は、以前朝日にピンク色に染まる富士山を撮りに行ったときのものです。夜明け前から湖を渡ってくる冷たい風にさらされてじっと立ってスタンバイしていたので、自分の体感では一番寒かった撮影。
しかし、しかしです。
この通り凍っていました、湖が……。
私は湖面に映る逆さ富士(ピンク)を撮りたかったのですが、ご覧の通り、映り込みません。(凍っているから)
ですが逆にこの後なんども山中湖を訪れていますが、こんな景色には出会えていません。山中湖はかつては毎年のように全面結氷してワカサギ釣りやスケートを楽しんでいたようなのですが……。今ではここまで凍りません。
スキー場も同様のことが起こっています。
温暖化の影響で、冬のスポーツを楽しめる場所はだんだん減って行くのでしょう。
今回、私は環境問題について、大上段に何かを言おうと思っているわけではありません。もちろん環境問題は私たちの重要な課題です。ただ、身の回りにあるあたりまえのように思っている景色がどんどん変わっていってしまうので、それを留めておきたいと思っています。日本の美しい四季、例えば、春の桜の花びらが風に舞う様子、夏の海岸で波がキラキラと輝く瞬間、秋の紅葉が燃えるように赤く染まる光景、冬の雪景色が静寂をもたらす時間。自然の豊かさに触れると、心が癒され、人生の豊かさを感じることができます。
そしてその中で暮らしている私たちの日常。
第2章:過去と現在の比較
自然だけではありません。
街も、人もどんどん変わってゆきます。
こちらは以前お台場にあったチームラボと、観覧車。
どちらもなくなりました。
今、ここはBリーグ「アルバルク東京」の新アリーナを建設中です。
そして手前のパレットタウン跡地は東京23区内では唯一のモータースポーツ・サーキットコース「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」になりました。
そんな環境への想いや願いを表現した写真の「環境フォトコンテスト」が毎年開催されています。このコンテストの趣旨に賛同し、協賛している企業の出しているテーマがそれぞれなるほど、と頷けます。例えば、「日本生命賞」の「たくましく生きる力」、JT賞の「共存」など。さらにそこへ応募される写真が素晴らしく、見応えがあります。中でも私が心惹かれるのが「カメラのキタムラ賞」の、「写真の力〜レンズがとらえた瞬間〜」です。まさしく、写真が伝える事ができるものの可能性を感じて入賞作を見るのが楽しみです。(今年の応募は8月15日で締め切り、来年の1月に入賞作品が発表される予定です。来年はどんな素晴らしい作品が登場するでしょうか?)
第3章:未来への希望と行動
写真でできること、について一つ私がワクワクした経験をお話しします。
以前「マンホール聖戦」というものに参加しました。
これは社会貢献型NFTゲームと呼ばれているものです。
ゲームアプリに登録してマンホール本体と位置を撮影して投稿すると、ポイントが得られて貢献度によって賞が与えられる形式でした。ゲームとすることで、各地にある老朽化したマンホールをみんなで寄ってたかってスマホで撮影して情報を集めてしまおう、という趣旨です。
その時のnoteがこちら。
このイベントは最初渋谷周辺から始まったのですが、あっという間にマンホールがどんどん撮影されて埋まってゆき、まだ撮影されていないマンホールを探す方が難しいほどの競争になりました。普通に行政で点検していたら一年以上かかりそうな範囲のマンホールの写真が1週間もしないうちにみるみる集まってゆく臨場感もまた楽しかったです。みんなでやれば、一挙に解決できるということを身をもって実感した経験でした。
それほどコストをかけずに社会課題の解決をゲーミフィケーションを活用してやってしまおうという発想は、とてもいいアイデアだと思いました。
「ワーキッシュ・アクト」(Workish act)というワードを聞いたことはあるでしょうか?
「ワーキッシュアクト」とは、「Workish(仕事っぽい)」と「act(活動)」を組み合わせた造語です。
例えば、ジョギングと町の防犯パトロールを合わせた「パトラン」。
週末の旅行と掛け合わせた地方での副業などなど……。
このマンホール聖戦(のちにマンホールだけでなく電柱も対象になりました。)もそのひとつ。
それほど片肘貼らなくても、私たちが未来のために現在できることや、希望を持って取り組むべき活動がある。これらの活動は、小さな一歩かもしれませんが、積み重ねることで大きな変化をもたらします。個人やコミュニティでできる小さなアクションの重要性を実感しました。
スマホでちょっと写真を撮ることでできることもある。このアイデアは写真が大好きな私にはとても素晴らしい響きを持っています。
みんなの小さな「得意」を集めれば、それが誰かのお悩み事を解決することが可能となるかもしれません。
私や、あなたの小さな行動が未来へ続く一歩になるかもしれないと思うとワクワクしませんか?