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蓄積した「しんどさ」と綿棒浣腸の話|4m20d

金曜の夜、私は育児歴4ヶ月半にして最も「しんどい」気持ちになっていた。

お風呂、授乳、寝かしつけをしたら、夫の仕事が終わるのを待ちつつ夕飯の準備をするのが、平日夜のルーティン。でも今日はどうにもしんどくて、寝かしつけが終わった直後に「今日はもう寝る」と夫に伝えて、夕飯も食べずに寝ることにした。

母乳のためにと、今までどんなに面倒でも一日三食なにかしら口にするようにしていたから、夕飯をすっ飛ばすなんて、子を産んでから初めてのことだった。

どうしても眠いわけではなかったから、夕飯をちゃんと食べて、夫と会話したりテレビをみたり、いつものように夜の時間を過ごしたほうが気分が紛れるかな、とも思った。けれど今日は、そこにエネルギーを割くことすら億劫に感じてしまう。

「どうしたの?」と心配する夫に「明日、寝かしつけ変わって欲しい。」と絞り出すのがやっとだった。別に寝かしつけだけが嫌だったわけではない。自分でも何がどうしてこんなに「しんどい」のか分からないのだ。

私は自分自身と向き合うのが苦手な方で、ことさらネガティブな感情には蓋をしがちだ。大抵の悩みごとは寝れば忘れるタイプなので、モヤモヤしたときはさっさと寝てしまう、というのが私のやり方だ。でも今日の「しんどさ」はちょっぴり手強そうだったので、眠りにつくまでの間、その理由について考えてみることにした。

まずは子に関すること。寝返りを覚えたせいか、ここ最近はほぼ100%抱っこ紐じゃないと寝てくれないこと。お昼寝の時間が短く、日中なかなか自分の時間が取れないこと。子が慢性的に便秘気味で、月曜日以来ウンチが出ていないこと。

そして環境に関すること。今日は朝から一日雨で、お散歩に行けず外の空気を吸っていないこと。これまで毎週なにかしら支援センターのイベントや子育てひろばに足を運んできたけれど、今週は珍しく外での予定がなく、ずっと子と2人きりだったこと。

こうなってくると、いつもは気にならない在宅ワーク中の夫のことさえ、「しんどさ」につながってしまう。オンライン会議中、子の泣き声が邪魔にならないよう寝室に籠もって静かに過ごさねばならないこと。ビジネス電話でどうしても大きくなる夫の声量のせいか、さっきようやく寝た子がもう起きること。忙しそうに仕事をする夫と比べて、何も生み出さずにひたすら子を抱いてユラユラ揺れるだけの自分が、無性に惨めに思えてくること。

いろいろな条件が重なってじわじわと蓄積した「しんどさ」が、一旦限界をむかえたということなのだろう。私はひとまず「あぁ、しんどい、しんどい。私いま、しんどい。」と、自分の感情を思う存分に噛み締めながら、眠りについた。

・・・

夜間に一回の授乳をはさんで、翌朝、またいつもどおりに子のお世話がはじまる。

今日もウンチが出ないので、流石にまずいと思い、意を決して初めての綿棒浣腸にトライすることにした。赤ちゃんはよく便秘になる生き物なのだそうで、その解決策として定番なのが、この「綿棒浣腸」。ちょっと勇気がいるので今まで避けていたが、いよいよそうも言っていられない。

YouTubeを参考にしながら、綿棒にクリームを塗って、ドキドキしながら子のおしりをクリクリ…。最初は嫌がったけれど、すぐに「ううう」と唸りはじめて、無事に大量のウンチが出た。綿棒浣腸、思っていたより簡単で効果てきめん。こんなことならもっと早くやってあげればよかった。ついでに私の気分もスッキリ。

洗濯機を回す。気づいたら雨があがっている。起きてきた夫が、ぐずりはじめた子の抱っこを代わってくれる。蓄積した「しんどさ」が、少しずつ軽くなっていく。

子は最近は抱っこ紐じゃないと寝ないと思い込んでいたのに、夫の横抱きと鼻歌まじりの縦揺れでアッサリ寝たので拍子抜けした。ウンチも出てスッキリしたのか、子はそのまま昼過ぎまで、2時間半もぶっ通しで寝ていた。

・・・

育児はまだまだ始まったばかり。溜まった「しんどさ」を自分で処理しなければならないときや、いろんなタイミングが重なってどうしようもなくなるときが、これから幾度となく訪れるだろう。きっと残念ながら、綿棒浣腸のような一発逆転の解決策がある話ではない。あぁ、なんと自分と向き合う胆力が試されることか。

今回はまずそれを体感できたこと、そしてギリギリのところで下手なりにSOSが出せたことに、意味があると思いたい。

綿棒浣腸をマスターした母は、ひとつ強くなったぞ。

髪の毛のびてきて耳のところでカールしてる。


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